第10話
か弱い女扱いされるのが本当に苦手なのよね。
「これくらい持てるっていうのに、あなたって過保護」
「君は甘えないな」
ため息をつかれた。
可愛くないっていいたいの?
今日は二人でお買い物。日常品は休みの日にまとめて買ってしまう。だって、外に出るのが億劫じゃない。食事を作る彼は一週間くらいのレシピをさらりと作り上げて必要なものを買っていく。私はちっちゃい子供みたいに、こそこそとお菓子を詰め込んでは睨まれる。むぅ。
いっぱいの買い物袋を抱えているといつも奪われる。これくらい持てるのに。
「女性を甘やかすのは男の特権なんだぞ」
「なにそれ、ふるーい」
ああ、いけない。また憎まれ口をたたいちゃう。結婚した当時からこういうちっちゃいことで喧嘩する。私が持つの、俺が持つっていいあいこ。君は可愛くない女だなと言われたことがある。支えようとしているのに突っぱねるのはよくないことだと、私だって知ってる。
ケド、今は
「君は可愛いよ。そんな女性を甘やかしたいんだ。古い男だから」
さらりと、そんなことを口にする。
ずるい。勝手に慣れて、諦めて、楽しんでる。私のこともっと好きになってくれている。
私は彼を睨んで、手を伸ばした。
荷物の袋の反対を奪い取る。
「二人で持ちましょうよ。好きな男を甘やかすのは女の特権よ」
「・・・・・・」
仕方ないという目。
「夫婦なんだし」
「そうだな。ありがとう」
優しい声。
そうよ、私たち夫婦なんだもの。二人で持って悪いことはないわ。
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