第30話 ついに秘密が明らかになる
「リズと言ったな、私は戸籍というものを大変重要視していてな。戸籍に関しては絶対に間違いがないように製作させるようにしている。
報告係の調べた情報が矛盾しているということであれば戸籍には間違えがなく、報告係が話を聞いた情報そのものが間違っているということになるのだ。報告係よ、おぬしはどう思う?」
国王の疑問に、報告係は正直に答える。そして、彼はさらに追加の報告をもたらす。
「私も、陛下のおっしゃる通りだと思います。それと、陛下はすでにご存じかと思いますが、そこにいるリズという人間が男であるという噂も存在していました。」
「あぁ、そのことに関しては事前に聞いている。なぁ、リズとやら。私は報告係のもたらした報告と私の元へもたらされた他の情報をあわせると、お前は男ということになるのだが、これはいったいどういうことなんだろうな?」
国王は一見、リズに質問しているように聞こえるが明らかにそうではない。むしろ、何か確信を持ったような目を向け、彼女に質問している。
そんな国王の威圧を受け、リズはさらに冷や汗を流し始める。既に、彼女の焦っている表情はチアだけでなく、ここにいる貴族全員に分かるほどだった。
国王の言うことに何も言い返せないリズは完全に黙り込んでしまう。いつまで経っても何もしゃべらないリズに苛立ちを募らせ、国王は強硬手段に乗り出す。
「衛兵、そいつの服を脱がせろ。そうすれば、そいつが男であるか、女であるか明らかだ。」
「お、お待ちください、このような大勢の目の前で女の服を脱がすなど、いくら陛下と言えどもお許しすることはできません。どうか、それだけはお許しください。」
リズは必死に国王に反対し、許してほしいと嘆願する。それもそうだ、そんなことをしてしまえばリズの秘密が明らかになってしまう。
本来であれば女性をこのような場所で脱がさせようとするなど、人間の風上におけるものではないが、国王は余程の自信があったのだろう。もしも自分が間違っていた際には自分が全責任をとると言い出したのだ。
「ならん!こうなってしまった以上、確認するまでは帰らせん。もしも、私の考えが間違っていた際にはすべての責任を私が取ろう。
だから安心するがよい、さぁ、衛兵。すぐさま確認を行うのだ。こうして、兵士たちに取り押さえられたリズは上に来ている服を脱がされてしまうのであった。
そう、ついにリズの秘密が公になってしまうのだ。ずっと、チアしか知らなかった秘密、リズが男であるという、誰にも知られていなかった秘密が。
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