第26話 嘘をついているのは
「静まれ!貴様ら騒がしいわ!」
ルミニと二コラが互いに責任を押し付け合っていると国王が我慢の限界を迎えたのか、一喝する。そんな国王に、謁見の間は一気に静寂が包み込む。
「私が聞きたいのはお前たちのつまらない言い争いではない。真実のみだ。私に聞かれたことのだけ、答えればいい。二コラよ、ルミニが言うにはそこにいるリズという人間は貴様の婚約者ではないという話だが、誠か?」
「いえ、間違っています!リズは確かに私の婚約者です、この男が自分の女とするために嘘をついているだけです。」
国王の言うことに二コラは誤解だと、発言をするが、国王に睨みつけられてしまう。彼は国王に聞かれてもいないことまで話してしまったからだ。
「言ったはずだ、私の聞かれたことにだけ答えろと。次はないぞ!」
国王の気迫に二コラは冷や汗を流してしまう。
「も、申し訳ございません。」
「まぁ、よい。さて、ではニコラが嘘を申していないというのであれば嘘を言っているのはルミニということになるが貴様が嘘を言っているのか?」
すると、次のターゲットとでもいうように今度はルミニに国王の関心が向く。
「ち、違います。彼女は確かにこいつの婚約者ではありません。本人から聞いたのですから間違いありません。誓って本当です!」
「本人?本人とはそこにいるニコラのことか?」
「いえ、違います。彼女です、リズ本人に聞いたので私は二コラの手から彼女を助けようとしただけなのです。」
そんなルミニの発言で謁見の間にいた人間の全員が一斉にリズの方を見つめる。チアも彼らに習い、リズを見ると若干であるが焦っているようにも感じられた。
小さい時から接してきたチアにしか分からないような小さな違和感ではあるが、彼女は間違いなく焦っているのだ。
先ほど、ルミニはリズから二コラの婚約者ではないという話を聞いたと言っていた。それが本当であればこの三人の中で嘘をついているのはリズなのだ。
なぜなら、チアが二コラに婚約破棄を言い渡させたとき、彼女は間違いなく二コラの婚約者になったのをチアは知っているのだから。
そう考えれば今回の国を揺るがすような事態の発端が彼女の嘘から始まったということになる。リズが焦っていないはずがないのだ。
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