第24話 国王からの招集

二人が秘密を絶対に話さないと誓うと、先ほどまでは真剣な表情をしていたバリットであったが、いつの間にか普段の彼に戻る。


「それなら安心だ。さて、これで噂の元となった人間は誰にももれなくなったわけだが、別に今回の騒動の責任をとる人間がいなくなったわけではない。なぜなら、この騒ぎの発端となったルミニ殿と二コラ殿の所在ははっきりとしているのだからな。


そこで、明日の早朝に王から王都にいる貴族関係者全員に招集がかかった。もちろん、今回の騒動の中心人物であるルミニ殿や二コラ殿、リズに関してもだ。


彼らは今回の主役ともいえる人間だからね、別々の場所で逃げ出さないように兵士たちの監視下にあるそうだ。私も参加することになったのだが、二人も一緒に来るかい?


王は貴族家の当主だけではなく、その関係者も呼んでよいと言われているから、今回は君たちも会場に連れていくことが出来る。」


そんなことを尋ねられた二人は好奇心の満ちた表情で頷いている。二人は今回の招集が一体どう意味を成すのかを理解していたからだ。


「ジャーニさん、今回の招集ってもしかしてそう言うことですか?」


「チア、絶対そうよ!あの二人を国王陛下自ら断罪なされるのよ!楽しみだわ!そんな瞬間を目にすることが出来るなんて陛下も粋な計らいをなされるのね。」


「ジャーニさん、せっかく私がほのめかしたんですからそこは断言しないでくださいよ。」


二人は例の三人が国王直々に断罪されるものだと考え、とても楽しみにしている。


「二人とも、陛下はあくまで招集なされただけだ。あまり、変な期待はしないように。」


「それは分かっているのですけど、ここまで騒ぎが広がったのですからせめて噂が本当のことなのかくらいは確認すると思うわよ。


そうなれば、リズが男ということが広まってチアが住んでいた村の奴らにもチアが本当のことを言っていたと証明できるわね。これで、あなたの名誉も回復できるわね。」


ジャーニはチアに汚名を払しょくすることが出来て良かったと言っているが、チアは既にそのことに関してはどうだっていいのだ。


「汚名が払拭できる、出来ないはもういいんです。あんな人たちにいまさら謝られたところで別にどうも思いませんから。それよりも、私はあの婚約者と兄が大勢の目の前で断罪されてどんな顔をするのかが楽しみです。」


「ふふっ、そうね、チアの言う通りだわ。自分たちが取り合っていた人間が男だと知り、そのことでショックを受けているのにもかかわらず、国王陛下から断罪されるなんていいきみよね。早く明日にならないかしら。」


明日の断罪の時を楽しみにしているチアとジャーニの二人には気のせいかもしれないが黒いオーラのようなものがあふれ出ているのだった。自分の娘ながら、なかなか恐ろしいものだと、バリットは少しだけ震え上がってしまうのであった。

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