第14話 こうして駒は集結する

本日は国王の誕生パーティーと言うこともあり、大勢の貴族達が城に出入りしていた。


「バリット殿、この度は国王陛下の誕生パーティーに招待していただき、誠にありがとうございます。私のような田舎の男爵の息子など、今回のように招待をしていただかなければ一生参加することなどできなかったでしょう。


本当に感謝いたします。それと、紹介が遅れました。こちらは私の婚約者であるリズです、お見知りおきを。」

二コラは普段は礼儀など知らないと言ったような人種であるが、流石にここは城の中であり、周囲には自分よりも爵位の高い貴族しかいないのだ。それに、相手は自分よりも爵位の高い子爵であるため、二コラは精一杯、礼儀を尽くす。


なぜ、彼がこのような行動をとれるかというと、いくら田舎の貴族とは言え、自分よりも爵位の高い人間と接する機会があるかもしれないと、二コラの父親が彼に教育を施していたのだ。


「こちらこそ、参加してくれて感謝しているぞ。二コラ殿、私も色々考えて派閥の強化を行いたいと思っていてな。君のような優秀な人間をぜひ、手元に置いておきたいと考えていたんだ。


君のことは前々から知っていたけど、なかなか話す機会がなかったんだよ。私も、君には期待しているんだ。私の派閥に入ってくれたら本当にうれしいのだがね。」


子爵は挨拶もほどほどにして早速本題に入ろうとする。彼がここまで早く、彼と派閥の話をしているのには理由がある。


それは、今回のターゲットであるルミニがニヤニヤしながらこちらへとやってきたからだ。おそらく、子爵に向かってジャーニがどれだけひどい女であったのかを大声で話すことにより、周囲の貴族に噂を流させ、自分が婚約破棄を行った事実をうやむやにしようとしているのだろう。


彼がジャーニに対して婚約破棄を行った事実は変わらない。本来であれば婚約破棄というものは簡単なものではなく、余程の過失がない限り行わないものなのだ。


しかし、ルミニの場合はジャーニの性格が気に入らないというくだらない理由で婚約破棄を行った事もあり、体裁が良くなかった。


この貴族たちが大勢いる中でジャーニがどれだけひどい女であったかを語れば彼らは皆、ルミニに同情し、婚約破棄を行った事など、うやむやになってしまうのだ。


「おや、おや、そこにいらっしゃるのはバリット殿ではないか。貴殿は自分の娘に対していったいどのような教育をしているのか、本当に理解できない。


あの女の性格はひどすぎる、本当に子爵家の人間として育てたのかね?顔はまぁまぁいいから婚約をしてやったが、あれはダメだ。今ではあれと婚約破棄をして正解だと思っているよ。」


こうして、婚約者屈辱計画の駒が全員揃ったのであった。

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