第11話 こうして計画は始動する
「まず、初めに確認しておきたいのだけれどチアは今回の計画に関して賛同しているという認識で合っているのだよね?今回、我々が陥れようとしているのは君のお兄さんだ。場合によっては君を傷つけるかもしれないから、早めに聞いておきたい。」
もしも、この計画にチアが乗り気では無ければ彼女がいる場所で計画を話すことなどできない。だからこそ、初めの段階で確認を行うことは大切だ。しかし、チアの言い分など、はなから決まっている。あの兄にいまさら情けなどかける必要がないのだ。
「そんなの必要ありません、あの兄のせいで私は村を追い出されたようなものなんですから。むしろ、あれが消えてくれるなら私は嬉しいです。」
そんなチアを見てバリットも問題ないと考え、三人で計画を練り始める。
「お父様、まずはチアのお兄さんと私の元婚約者をくっつけさせないといけません。二人は面識はありませんからどうにかして接点を持たせないといけません。」
「そうだな、だが、例の彼は男爵家なんだろ?お前の元婚約者は伯爵家だ。そんな二人が接点を持つことなんてあるか?」
身分の異なる二人に接点を持たせる。これは簡単に見えてなかなか難しいことだ。しかし、チアはその点に関しては元婚約者ということもあり、よく理解していた。
「おそらくですが、二コラ様の家は男爵家ではありますが大して貴族と言えるような立派なものではありません。だからこそ、本人は爵位の高い貴族とのかかわりを欲していました。」
「そうなの!それは良いことを聞いたわね。実はね、私の元婚約者であるルミニ様も上の爵位を目指しているみたいで今は派閥づくりに熱心みたいなのよ。だから、男爵当たりなら何人いてもいいと思うわ、自分より爵位が同じくらいの所だと、ややこしいけど、伯爵と男爵ならそんなことはないしね。」
そして、運のいいことにジャーニの元婚約者も男爵との関わりを必要としていたのだ。そんな話を聞き、バリットはとある作戦を立てる。
「なるほど、互いに求めている状態ということか。それなら、後はきっかけづくりだけだな、来週、王城で国王陛下のパーティーが開催される予定なのだ。とりあえず、あの伯爵家の人間は勝手に参加するだろうからチアの男爵家の方は私の方から招待状を送っておこう。
そうすれば私はその男爵家と関わり合いはないから怪しまれる心配はないだろう。適当に派閥の強化を行いたいと言えば話に乗ってくるのではないか?」
「そうですね、バリットさんの言う通りだと思います。その話なら、間違いなく二コラ様は乗ってくると思います。それに、私の兄も貴族の方が集まるパーティーがあると聞けば間違いなく参加したいと言い張るに違いありません。」
「よし、後は伯爵家の方だな。ジャーニ、彼は派閥を強化したがっていたのだな?」
「はい、そうです。何かあるのか分かりませんが、少し、焦っているようにも見えました。」
「そうか、ならば、あからさまにその男爵家に勧誘をかけているのを見たら興味を示すのではないか。自分が派閥の強化をするために他の貴族を勧誘しているのに、自分が婚約破棄を言い渡した家が派閥を強化し始めたら嫌がらせをしていると感じるのではないか?」
「確かに、その通りです。ルミニ様が派閥を強化したがっているというのを私が知っているということを彼も知っていますから。」
「ならば、その邪魔をしようとしてくるな。よし、それで二家の接点を持たせるか。」
こうして、彼らをはめる計画は始動し始めたのである。
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