第10話 婚約者屈辱計画
チアが提供した料理はジャーニと彼女の父親にも提供され、それを食べた彼は非常に上機嫌だった。
「うん、チアは娘の話し相手になると思って雇うことに決めたがこれは雇って正解だったな。これでまた、毎日の楽しみが増えたよ。おっと、そういえば雇い主というのに顔合わせをしていなかったね。僕の名前はバリットというんだ。これからよろしく頼むよ。」
「はい、よろしくお願いします。バリット様。」
「あぁ、良いよ様なんて。ジャーニにも言われたんだろ?僕もそう言うのは嫌いだからバリットさんとでも呼んでくれればいいよ。」
ジャーニの性格はおそらく彼に育てられたことによってこのようになったのだろう。バリットもジャーニと同様で自分のことを様付けされることを嫌がっている。
「分かりました、これからよろしくお願いいたします。バリットさん。」
「うんうん、チアは本当にすごいのよ。お父様も認めて下さってよかったわ。って!そうじゃない!チアの料理がおいしいのは分かったけど、そこじゃないわよ。チアは私と例の計画を話し合うためにここで雇ったのよ。
お父様!私たちは婚約者屈辱計画を成功させるために計画を立てる必要があるんです。お父様もどうか協力していただけないですか、私はあの婚約者に一泡吹かせてやりたいんです。」
チアとバリッドが打ち解けているとジャーニは机をたたいて話を強制的に切り上げる。チアたちは食事のことで話が弾んでいたが本題は例の計画のことに関してだ。
もちろん、チアを雇い入れることを承諾した時からバリットはその計画に関しても話を聞いていた。話を聞いた当初は自分の娘ながらなんてことを考えつくんだと頭を抱えていたが今では彼女の計画に協力的だ。
「分かっている、お前の計画に関しては私も協力を惜しまないさ。お前のことを捨てた彼のことが気に入らないからね。向こうから婚約を申し込んできたというのに一方的に破棄するなんていい性格をしている。」
徐々に娘に恥をかかせたと、バリットは口調が速くなり、彼女の元婚約者に対して怒りをあらわにしている。そんな彼を止めないといつまで経っても話が進まないと、ジャーニは父親に怒りを抑えるように言う。
「お父様の怒りは分かりましたから落ち着いてください。お父様がいつまで経っても怒っていたら話が進まないですよ。」
「おっとすまないね。というか、いつの間にその計画に婚約者屈辱計画なんて名前が付いたんだい?」
「お父様、名前は大切ですよ。そんなことは良いですから、婚約者屈辱計画の中身を詰めていきましょう。この計画がうまくいくかによって私たちの復讐は成功するかが決まるんですから。」
こうして、三人による婚約者屈辱計画の会議が始まるのだった。
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