第6話 目覚めはベッドの上で

そんな楽しげな夜を明かした後、チアが目を覚ますと大きなベッドに寝ころんでいた。


「あれ?ここは一体?」


彼女がここはいったいどこだとあたりを見回しているとタイミングよく、ドアをノックする音が響き渡る。


「は、はい。」


すると、ドアの向こうからやってきたのは執事のような風貌をした男性だった。


「おはようございます、お客様、ご気分はどうでしょうか?お水などをお持ちいたしましょうか?」


そんなことを聞く彼だったが気づけばこんなベットで眠っていたのだ。昨日はずっと飲み明かしていたのは覚えているがこんな場所に来た覚えはない。彼女が困惑しているのが分かると執事は成り行きを説明し始める。


「お客さま、昨夜はお嬢様とお酒をたしなまれ、そのまま眠ってしまわれたんですよ。お嬢様を迎えに来たメイドが酔いつぶれているお客様を発見してお嬢様の指示でこちらへお運びさせていただきました。」


「あ、あの、そのお嬢さまというのはもしかしてジャーニさんのことですか?」


「はい、そうでございます。」


ここでチアはようやく昨日のことを思い出したのだ。普段から、お酒は飲まない彼女であったため、適量が分からずどんどんお酒を飲んでしまっていたのだ。まさか、貴族の家にお世話になっていたとは考えもせず、おろおろとし始める。


「あ、あの、すみません。普段はお酒を飲まないのでこんなになるまで飲んでしまって。ご迷惑をおかけして申し訳ないです。」


そんな彼女を怒ることもせず、執事は優しげに微笑み、大丈夫と告げるのだった。


「問題ありませんよ。むしろ、お嬢さまの話し相手になっていただきありがとうございます。婚約者の方との一件があってから、荒れていらしたので、お嬢さまもあなたとお話ができてようやくスッキリできたとおっしゃっていました。これでお嬢様も立ち直れそうです。」


「そ、それはどういたしましてでいいんですか?」


彼女がスッキリしたのは婚約者との一件に気持ちをつけたわけではなく、むしろ復讐に燃えているからであるが、今はそのことは黙っていようと喉から出かかった言葉をチアは飲み込む。


そんな二人の元に、昨日チアと一緒に愚痴を言い合ったジャーニが顔を出すのであった。

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