第5話 兄は身も心も普通に男
「だから、あなたの元婚約者からあなたのお兄さんを奪い取って、私の元婚約者とくっつけさせるのよ。」
「えっと、私の元婚約者が選んだ相手が男って言いましたよね?なんでそんな訳の分からないことをするんですか?」
チアの頭の中ではジャーニの考えていることが全く理解できないでいた。婚約者の相手が女性ならば同じ苦しみを味合わせてやるという理由で分からなくもないが、どう考えても男性なためそんなことにはならないのだ。
「だって、考えてみてよ。女の子と思っていちゃついたり、キスしたりした相手がある日、男と分かるのよ。そんなことが分かれば本人もショックだし、貴族の間でそのことが知れ渡ればあいつは破滅よ。
あなたは、お兄さんと元婚約者に制裁を、私は元婚約者に制裁をしたいんでしょ?それなら全員に制裁する方法は、お兄さんを私の婚約者に略奪させたうえで男とバラす。
もちろん、私達の元婚約者が一人の女性、つまりはあなたのお兄さんを奪い合っていることを街のみんなに広げていくの。王都の貴族にも伝わるように、どんどん話を広げましょう!そう言うことは私、得意なの!
そうして、その三角関係を国中に広めた後に盛大に秘密をばらすのよ!話に聞いている感じじゃ、あなたのお兄さんはろくでもない人間なのよね?別に、誰にも迷惑をかけない良い人ならその人が男だろうが女だろうがそっとしてあげるけど、ひどい人なら別よ!そういう人間は罰を受けるべきだわ!」
ジャーニの気合の入った説得にチアは思わずたじろいてしまうが、今考えれば特に断る理由がない。別に、兄の知られざる秘密がばれたところで知ったことではないのだ。というか、別に兄は女性の心を持っており、今に至ってしまったというわけではない。
普通に心は男なのだ。ただ、女の格好をして、女の振りをすれば世の中の男たちは兄のことを気遣ってくれるのだ。その快感がたまらなく好きな兄はいつしかこんなことになってしまったのだ。
もっとも、それだけのために男とキスをしたりイチャイチャしたりするなど、到底理解することが出来ないが。要するに、そんな兄に容赦する必要などない。
「そうですね、あんな奴ら国中の笑いものとなってしまえばいいです!むしろ、国中に変態として知られることによって後世に名を残すことが出来るのだから感謝してほしいくらいですね。」
「おっ、言うね~。その調子だ!私たちを傷つけたあいつらを許しておくな!絶対に報復してやる。女を本気にさせたら怖いってことをあいつらに教えてやるんだ!」
「おーっ!」
こうして、二人は夜が明けるまで飲み明かし、三人をはめるための計画を立てていくのであった。
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