陽菜乃

 会ってすぐ、かわいい女の子だとは思った。長いまつ毛にぷるんとした唇。ラベンダー色の肩を出したトップスにアイスブルーのマーメイドスカートは華奢な体によく似合ってる。

 

 量産的だけど、万人受け。ありきたりだけど、そそる。


 SUVに乗せて、そのまま家へ連れてきた。家に着いた時も陽菜乃は特に反応がなかった。手をつないでそのまま引っ張った。


 家に入ると、陽菜乃はソファにもたれかかるように身を投げた。

「なんか飲む?」

 おれはソファの下に膝をついて、疲れてるのかなと思って覗き込むと、

「いらない」

と言って、手のひらで両目を覆い隠した。

「質問なんだけど…」

 陽菜乃が言う。

「なんでわたしにしたの?」

 手をずらして片目を隠したまま、こちらを見てくる。


 なんでもくそもない。このところ溜まってるのだ。仕事のストレスとか、性欲とか。早く出したい、ただそれだけだけど。あと腐れないのが楽だしね。君もでしょ?


 でもおれはこういう時努めて大人しく物わかりのいいふりをする。

「かわいいから、気になる。もっと知りたくなるから」

「わたしも」

と言って、座っていたソファからずるりと落ちてきた。そしておれの手を取り、自分の耳に手を押しあてた。まるで片耳だけヘッドホンをあてて音楽を聴くようにして言った。

「こことか」

 陽菜乃は手を動かし、今度は自分の唇に押し当てた。粘膜色のむっちりとした唇は柔らかい。

「知りたいの」

 手をそのまま下へ、体の線に沿って滑らせ、服の上から左胸のところでまた押し当てた。

「ここも」

 ごわっとした感触とふにゃっとした感触が一度に指先から感じる。おれは無意識のうちに手で揉んだ。

「ちがうよ、もっと奥だって」

 陽菜乃の折れそうな細い指に力が入り、軽くおれの指先に爪をたてた。

 何を知りたいんだ? おれは新しい誘い方に少々動揺した。

「わたしの中にある空洞、全部埋めてよ」

 潤んだ瞳で見つめてくる。そういうことか。

 反射的におれは陽菜乃の唇にキスをした。舌を入れてからませる。熱っぽい甘い音が部屋にかすかに響く。同時にトップスの中に手を入れて、柔らかくたつところに爪を食い込ませ、芯を押す。

 陽菜乃の呼吸が乱れ始めた。


 耳、口、肺。ここの三つの空洞をを満たせば後残るのは。



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