第四話 ドラゴンの誕生

 割れた卵から出てきたのは大きな爬虫類だった。


「この子はモンスター? トカゲみたいに見えるけど……」


 ユーリーは恐る恐るその生まれたての生き物を持ち上げた。


「翼がある! え、この子もしかしてドラゴン!? 数百年前に滅亡したって言われているのに……」


 ドラゴンはキューキューと鳴いている。


「どうしようどうしよう子供産んだことなんてないからわかんないよ。とりあえず体を拭いてタオルにくるもう。それにしても……可愛い」


 ユーリーはドラゴンの赤ちゃんを眺めてデレデレした顔をしている。


「ご飯は何を食べるんだろう? とりあえず牛乳はないし肉も切らしてるし……。とりあえず後で水でふやかしたパンをあげてみよう」


 ドラゴンは生まれてすぐは鳴いていたが、少しすると気持ちよさそうに寝始めた。


「それにしてもなんでこの森に数百年前に滅亡したドラゴンの卵が? しかもそんなに地中深くに埋まっていたわけでもないし。化石化した卵が一年経つと孵化するなんてありえるの? んー、わからないことだらけだわ」


 ユーリーはわからないことについて深く考えるのをやめた。そうしてユーリーとスライムとアンガーウルフの生活に、新たにドラゴンの赤ちゃんも加わった。



*****



 それから三か月が経った。


「ドラちゃん完全にわたしより大きいね。もう見上げないとだよー」


 ユーリーはドラゴンを見上げて話しかけた。ドラゴンも返事をするように翼をバタつかせた。スライムとアンガーウルフ同様、このドラゴンもユーリーと気持ちが通じ合うモンスターだった。


「よーし今日はまたドラちゃんに魚を取ってもらおうかなー」


 ユーリーはドラゴンを連れて川へ向かった。


 太古の昔に滅びたモンスターがいたとしてもユーリーのスローライフに変化はなかった。

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