第13話 ポテトチップスと快気祝い
「それじゃ、ゆうとの快気祝いをします、カンパーイ」
「「カンパーイ」」
「いや、ただの風邪が完治しただけなのに、何これ?」
「そりゃ、なあ…」
「ゆりさんも、そんなキャラだっけ?」
「今日はね。しっかりとこういう機会ができたから、盛り上がろうって思って」
「そうだよ。うちが誘ったんだから悪く言わないの!」
「へいへい」
そうして快気祝いが始まった。
といっても、食べるものはお菓子だ。
理由としては病気になっているときに一番食べないものだかららしい。
なんとなくわかるけど、それでも毎回僕の部屋を使う理由はなんでだろう。
ゆりさんは実家だからというのでわかるけど、隣の二人が使わせない理由がわからない。
と思って質問したら、二人で住むなら、かなりの量のものがあるから狭いということらしい。
まあ仕方ないと感じながらも、僕はお菓子をつまんでいた。
そんなときだった。
「ポテチをたべてえ…」
「病み上がりに油ものを進めるのは…」
「バカの言うことは気にしなくていいからね、ゆりちゃん」
「く、お前らいつの間に仲良くなりやがって」
「それはまあ、女性同士の会合があるからね」
そんなふうにしてあいがゆりさんに笑いかけている。
ゆりさんも嬉しそうに笑っている。
苦笑いをする僕と、悔しそうなじゅんという状況だった。
このまま鬱陶しいといってしまえばかわいそうだけれど、そうとしか思えないじゅんを放置するのはどうしたものかと思った僕はあるものを作るためにじゃがいもをとった。
それを目ざとく見つけたのはじゅんだ。
「ま、まさか、それはポテチを…」
「一応快気祝いをしてもらってるしな」
「えー、そんなことでじゅんを甘やかしたらダメだよ」
「いいじゃねえか、俺も手伝うからよ」
そうしてポテチ作りが始まる。
といっても作り方は簡単だった。
まずはじゃがいもの皮をむく。
そしてボールに水をためてから、そこにむいたジャガイモをスライサーでスライスしていく。
これは切るとアクがでたり、色が変色してしまうということを水をつけることで防ぐ役割があった。
スライサーでじゃがいもを上下に動かしているじゅんを見ながらも、僕は油の準備をした。
しっかりと揚げたいので190度くらいに設定する。
しっかり油があったまったところで。スライスしたじゃがいもを入れていく。
ここで入れる前にすることはキッチンペーパーでじゃがいもの水気をとってやることだ。
これによって、そもそも油に水分がかむことでおきる、油が弾けるということが少なくなる。
「おい、これはどのタイミングであげればいいんだ?」
「それは、じゃがいもがしっかりと油から浮いてきたタイミングだね」
「わ、わからんけど、これくらいか?」
「おっけー」
そう、水分がしっかりと抜けてあげらることによって、それまで水分によって沈んでいたじゃがいもが浮いてくるのだ。
そうなることで、しっかりと揚げてあるということがわかる。
ちなみに、スライサーが洗うのがめんどくさいときは、包丁を使ってやるのだけれど、そうなった場合はしっかりとじゃがいもにはしをさすなりして硬さを確認することが重要なのだ。
そうして出来上がったポテチに塩をかける。
すぐに揚げたものの特権という理由でじゅんがポテチに手を伸ばし、うなっていた。
「う、うまい。やっぱり揚げたては最高だということか…」
そんなことを話ながらも、時間は過ぎていく。
「それじゃ、終わりますか。病み上がりには悪いしな」
「だったら片づけていけよ」
「そ、それはあたしがやります」
その言葉とともに、ゆりさんが片付けを手伝ってくれたが、いろいろなことが起こり、けっよく一人で片づけたということは言うまでもなかった。
そんなことがありながらも、快気祝いが終わった。
ただ、忘れていた、この後にあるであろうイベント、ゆりさんの親御さんも含めた食事会をするということを…
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