第12話 ロールキャベツとのんびりと
体調も戻り、今日はのんびりと過ごすということになった。
さすがに病み上がりに行くのは遠慮するねと言われて、一人で食べている。
作ったものはロールキャベツだった。
一人で食べるということもあって、面倒くさいことをしなくていいようにと巻かないロールキャベツにしていた。
作り方は簡単だった。
キャベツを鍋にしき、その上にミンチ肉と野菜…
おもに玉ねぎを混ぜた種をのせて、またキャベツを上にかぶせて、水とコンソメを入れて後は落し蓋をして煮込むだけだ。
待つ間に電話がきていた。
「もしもし」
『もしもし、元気になったかな?』
「おかげ様で、ありがとう。うつらなかった?」
『あたしはこう見えても医者の卵だからね、処置は完璧だよ』
「そっか」
『うん…もう少しで梅雨だね』
「本当だね」
テレビでは天気予報と、梅雨に入りそうということを言っている。
それはもうすぐだ。
『何か作っているの?』
「ロールキャベツをね」
『美味しそう』
「どうかな?面倒くさがって、適当な作り方だよ」
『いいんじゃない。いつもが頑張りすぎなの。あたしは作れないからさ』
「あはは」
『ねえ…』
「うん?」
『ご飯一緒にしてくれないかな?』
「えっと、どういうこと?」
『お母さんが会いたいって言ってるの』
「そ、そうなんだ。考えておくよ」
『まあ、あんまり言うとあれだから、考えておいてってことで大丈夫だよ』
「あはは…」
『じゃ、また学校でね』
「おっけー」
そうして電話が切れた。
親に会うということか…
いつかは通るであろうイベントではあるのかもしれないけれど、そんなにはやくくるものだとは思ってもいなかった。
出来上がったロールキャベツにホッとしながらも僕はそのことを考えながら、のんびりと熱々の中身を食べながら、時間をつぶすのだった。
家に行った際にどういうことを言ったらいいのかを考えながら…
季節は梅雨へと向かっていく。
すでに熱くなってきた外気温がそのことを教えてくれていた。
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