第45話 知りたいこと

   ~~ ミズクと ~~


「私と……してくれるの?」

 ミズクはもじもじしながら、それでも嬉しそうにそう尋ねてきた。

「かなり痛いかもしれないよ。それでもいい?」

「大丈夫だよ、耐えて見せる! だって、大人になれるんだもん」

 今日は山小屋に二人きり。気を利かせて、他のみんなは離れにいる。

 すでに指や、口で彼女のそこは刺激を与えてきており、今日はそこから一歩先にすすむ、という話だ。

 すわったままのボクに、立った状態の彼女が近づいてきて、唇を重ねてくる。そうすると、彼女の方が上になり、ボクが見上げる形で唇を押しつけてくる。そうすることで、彼女は彼女が考える〝大人の口づけ〟ができるようになるのだ。

 唇がめくれ上がるほどの強く、甘いキス……。舌を入れてきて、こちらの舌と絡ませ、唾液どころか、粘膜すべてが溶け合うほどの強さをもって、ミズクはボクを求めてくる。

 それだけ待たせた、ということか……。

 ボクは彼女のまだ膨らんでいる……というには、少々おこがましいそこに両手を這わす。その先端……というより、乳輪全体がふっくらして、これから大きくなるその予兆を感じさせる。


 まだ幼いその肌は、まるで触れるものをすべて吸い付けるかのように、それでいてつるんとしていて、その微妙な肌触りを特徴とする。

 その丘を下っていくと、ボクの指の通り道を示すようなそこにたどり着く。今日はいつもより、しっかりと刺激を与える。この後、もっと強い刺激が加わるのだ。指で責め、少しでも慣れるように、そしてその痛みが少しでも小さくなるように、ゆっくりと押し広げていく。

 強い刺激によって、口の方がおろそかになってきた。必死に声を立てないよう、口を結んでいるのは、体が強張っている証拠だ。

 ボクは彼女を横にして、少しでも体の力が抜けるようにする。その方が下の方も少しでも緩むだろう、と思ったからだ。

「いくよ」

 この歳でも、これまでの経験でしっかりと湿り気をもっている。

 鳥の尻尾が邪魔になるので、やはりミズクには前からいく。「いくよ」

 彼女のそこにふれる。湿り気があるので、ザビのときより最初は楽だ。でも、押しこもうとすると、やはり元々の容積が足りていないので、中々奥へとすすんでいかない。

「痛い、痛い、痛い……」

「ごめん、やめようか?」

「ダメ! やめちゃダメ! 我慢する、だから最後まで……お願い!」


 強い意思を感じる……。やはり、今日は最後までいった方がいい。ボクも覚悟を決めた。

 彼女の肩を両手でつかんで押さえた。ザビのときもフィアの助けを借りたけれど、今日は自分の力でミズクに致そうと決意した。

 背中に翼があって、布団の上ではすべり易い。逆に、肩をしっかりとつかんで、自分の方に引き寄せるようにして、一気に行った。彼女の体が小さいので、むしろコントロールできたのだ。

「いやーーーッ!」

 悲鳴に近い声をあげて、ミズクの中にボクは到達した。最初がきつかったけれど、先が入ると奥まで比較的スムーズにいった。

 でも、それはボクの側の事情であって、ミズクは痙攣するぐらいの痛みがあったようだ。それでも、ぐっと布団をつかみ、必死で耐えている。涙もぽろぽろと流し、よだれも流すけれど、最初の悲鳴以外、声を立てないように我慢しているようだ。

「大丈夫だった?」

「うん……。大丈夫」

 そういってみたものの、だいぶ無理をしているようだ。でも、心はそれで満たされているのか、泣きながらだけれど、笑顔をみせた。

「これで、私も家族だ」

 ミズクがそう呟いたとき、改めてやってあげてよかったと思った。




   ~~ 過去 ~~


 左腕は骨折したままだけれど、ボクは暗殺をした人物をさがすことにした。何しろ生きていると知られたら、どこまでも付け狙われるだろう。

 ナナリーの町にいたリクィデーターはボクを騙したツケで、ドミネートを食らって気がふれてしまった。敵を見定められず、乱れ打ちした。そのせいで精神が混乱したまま、戻って来られなくなったのだ。

 しかし、意外な方向から情報がもたらされた。

 トールブの町でも一緒に仕事をした、魔術師のリクィデーターから呼び出された。

「今回はリクィデーターが単独で行ったこととはいえ、ギルドとしては責任を感じている。そこで情報を渡す。彼を脅して、あなたを騙したのは第二王子のジャバ」

「やっぱり……。一刀で背中を切り裂かれたのなら、彼しかいないと思ったよ」

「我々も、今回のケースはかなり危険と考えている。王族によるギルドへの介入であり、かつそれを組織だって行われた」

 ボクを暗殺しただけなら私怨だけれど、リクィデーターを巻きこんでボクを騙したことを問題視したようだ。

 魔術師のリクィデーターも腕を組む。

「国王が体調を崩してから、第二夫人……、ジャバの母親が力をもち始め、我々にも圧力をかけ始めている。これまで、ギルドは国と敵対せず、むしろその意見を取り入れてきた。でも、彼女は自分にとって都合の悪い相手を消すために我々を利用しようとしている」

「その第二夫人とやらを、ボクに殺させるかい?」

「依頼をだすつもりだよ。ジャバを含めて」


 その言葉には驚いた。

「王族を殺すのか?」

「ギルドにも意地があるからね」

 どうやら、ボクを殺そうとしたのも、自分たちが権力を奪うために邪魔だった、という事情もあるようだ。それに、ギルドは抵抗しようとしている……。

 でも、それだけでギルドが動くのか……?

「もしかして、ギルドの協力者は第一王子のガリオ……?」

「…………」

「彼にとっては、シークネイアの統治に力を割かれる今、第二王子のジャバが伸長するのが怖い。ナナリーもジャバが王都を強襲するのを懸念していたし、ジャバの武力と、その母親の力には警戒もあるのだろう。でも、そうやって警戒する必要があるのは、やはり権力に近いところにいる人物だ」

「ふ……。今さら、キミに隠し事をしても仕方ない。その通りだよ。ギルマスは第一王子と情報をやりとりしている。でも、この提案はキミにとっても利があることだと私は思うよ」

「どういうこと?」

「もし鬼人族が、国を主導する形となれば、森にいる動物たちは須らく狩りの対象となるだろう。鬼人族は肉を食う。森にいる動物は、よい狩猟相手だ」

 以前、ザビのことを動物たちが怖がっていたことがあった。彼女がボクたちのルールを守る、と知って安心してくれたけれど、鬼人族は動物を狩るのだ。

「それに、これはキミが今、預かっている少女とも関係する」

「…………? フィアのこと?」

 ボクはあっけにとられて、その話を聞くことになった。



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