第26話 港町の依頼
~~ 私も仲間に…… ~~
ショートスリーパーであるボクは、1~2時間も眠れば十分だ。三人が眠る山小屋のロフトを降りて、隣の囲炉裏のある部屋に向かう。
そこにはミズクが眠れないのか、囲炉裏の横にすわっていた。もう炭火は消えているけれど、炭はまだ赤く、熱を保っている。それに照らされ、ミズクの頬には光るものがあった。
一度、焦らなくていい……と話をして納得してもらったけれど、エドリーが来たことで、またぶり返したのだろう。
隣にすわると、彼女は頭をボクにこつこつとぶつけてくる。
「まだ……、ダメなの?」
「キミはまだ幼い。体ができていないからだよ」
「でも、私もみんなの仲間になりたい! 私だけ除け者……は嫌!」
「分かった。ここにすわって」
ボクが足を伸ばして、膝の上にすわるよう促す。こちら向きですわった彼女は、ちょっと不思議そうな顔だ。でも、ボクが少し足を開いているので、彼女が足をまたぐと、両足が開く形となる。そこに、ボクは指を這わせた。
「……あ」
彼女はよく盗み見していたので、それが何を意味するか、分かったのだろう。彼女は抵抗せず、黙って受け入れる。でも、表情が少し赤くなっている。
彼女のそこはまだ幼い。それは締まりがいい、という部類ではない。周りを包む筋肉も未熟であり、まだそういうことに慣れていない。例えていえば、初めて柔軟体操をする、その全身の硬さが彼女の本質ではなく、ほぐしたことがないからそう感じるだけ、という感じだ。
周りをマッサージをするようにほぐし、少しずつ柔らかくしていく。彼女は思わず手がいきそうになるのを、必死で止めている。服をめくり上げ、ボクの作業がし易いようにもしてくれていた。
そこが充血してきて、ほぐれてきた。ボクも「いくよ」といって、指を滑りこませる。
フィアやルゥナも処女だったけれど、彼女たちは体的に、受け入れる準備が整っていた。ボクの指でさえ、中々入っていかない。これでは、きっと本番なんてしたら痛くて仕方ないだろう。
「ふ、ふ、ふぁ~ん……」
変な声をだし、力が抜けてしまう。多分、それほど弄っていないけれど、初めての感覚、刺激に思わずイッてしまった……という感じかもしれない。
彼女の頬に、ふたたび光るものが見えた。でも今度のそれは、嬉しくて流した涙のようだ。ぐっと伸びをするように体をもちあげ、ボクの唇に唇を重ねてきた。
「もう一回。もう一回」
そうおねだりする姿は、まだまだ子供。
でも、今度は背中を向けてすわらせ、後ろから手を回してしてあげる。こうする方が、ボクも力をかけ易い。彼女はボクの左手の指を銜え、ちゅーちゅー吸う。幼児返りをしているようで、事件にかかわり、親を殺されて甘えることができなくなった彼女が、ボクとのつながりでそういう意識を芽生えさせたのかもしれない。
これなら、彼女を仲間に入れてあげることもできる。まだここから先にすすむことは難しそうだけれど、彼女が満足する形になってくれれば、ボクも嬉しかった。
~~ 動物の被害 ~~
露天風呂ができてから、動物たちが頻繁にやってくるようになったが、怪我をする動物たちも増えた気がする。
フィアたちが動物たちから話を聞くと、人間に襲われた、という。
人族でも、あまり動物を捕まえたりはしない。それは森には魔獣がおり、狩りをするのも大変な点と、そもそもタンパク質に困っていない点もあるだろう。植物のもつタンパク質で、大体は賄えるのだ。
獣人族も、動物と会話できたりするように、仲間意識もあって動物を捕らえて食べる習慣はない。
「何で人族が動物を……」
そんな疑問に、ナナリー王女と連絡をとったエドリーが答えてくれた。
「どうやら、魔獣事件があってから、動物は危険だということで、町の近くにいる動物を捕らえて殺す、といったことが多くの町で行われているらしい」
「そんな……。動物たちに罪はないのに……」
フィアは愕然とする。
「これは仕方ないわね。人族は、自分たちの安全のためには、他者を虐げることを何とも思っていないんだもの」
ネルも呆れた様子で、そう呟く。ボクも概ね、賛成だ。人は仲間と意識すると、親近感が湧いて親しくするけれど、敵と認識する相手には、極めて冷たく当たる動物でもある。
だから戦争ができる、という言い方もできるだろう。動物は同じ種族で殺し合いまでいくことは稀だ。戦って怪我を負わせても、殺そうとまで意識していないことが多い。でも、人族は明確に〝殺す〟という意識でそれをすることができる。自分を害する相手は、同じ人間でも殺す。そういう動物なのだ。
「今はとにかく、動物たちには人族の町には近づかないよう、伝えてもらうしかないだろうね。まさか森に入ってまで、彼らも動物を掃討しようとは思わないだろうから……」
ボクもそういうしかない。動物を虐げるからといって、人族を滅ぼすのもまた違うし、恐らくこれは国のトップというより、都市ごとにそうやって、動物を敵視するよう仕向けられているのだ。
この動きが広がらないよう、祈るばかりである。
ただ、その動きに関連したのか、仕事の依頼が入ってきた。
〝シークネイアの町にて
獣人族を虐げる貴族の討伐
領主の息子、へラムを暗殺〟
「シークネイア……。海岸沿いの町ね。この国では珍しい、港町よ」
ネルがそう付け足す。山がちの地形で、平地が少ないこの国では、わずかな平地を町としてきた。海沿いも同じで、良質な港をつくれるところは少なく、シークネイアはその中でも、数少ない海に面した平地のある場所だ。
シークネイアの町にいたリクィデーターは、トールブの町にいた黒いマントの魔法使いだ。顔はマスクで隠すので、性別その他は分からないけれど、以前その魔法は見ている。
「領主の息子の暗殺だって?」
「領主のボドウェ卿は、息子のすることに寛容……というより、野放し。その結果、彼は一大勢力を築いてしまった。この港町で、その交易ルートをつかい、他の多くの町とつながり、連携している。それは沿岸の各都市をむすび、もはや国の規模に匹敵するほど……」
「おいおい。獣人族を虐げている相手、じゃないのか?」
「それは、見れば分かる」
リクィデーターの案内で、シークネイアの町に入る。港町なので、海沿いが中心地であり、そこに城砦のような港湾管理センターのような場所がある。そこのトップをへラムは務めるらしい。
忍びこんで、窓から中を覗くと、すぐ異変に気付く。そこで働く獣人族は、みんな全裸だ。別に、酒池肉林ではなく、男も女も全裸で仕事をするのがルールのようだった。
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