第22話 元冒険者

   ~~ 対元冒険者 ~~


 獣人族の女性冒険者とともに、ゴートシティから離れた森へとやってきた。崖に寄り添うよう、小屋のようなものが建つ。ただ、それは洞窟を隠すためのもので、そこから地下へとつづく道があるらしい。

 小屋のドアが開くと、担架に乗せられた獣人族がはこびだされてきた。

「この洞窟で採掘される、蝙蝠の糞尿からその薬はつくられるそうだ。しかも、動物を魔獣化させるそれは、獣人族でさえも大量に吸いこめば、あぁなる……」

 獣人族である彼女では、近寄れない場所だ。

 入り口のところには見張りなのか、日向ぼっこでもするように老人が座っている。ボクは一人で近づいた。

「元冒険者……。悪党の用心棒に成り下がったか?」

「くくく……。オマエら現役の冒険者には、成り下がりに見えるかもしれん。だが、ここにいればオマエらと戦える。どうせ私は、戦いの中でしか生きられん。よっこいしょっと……」

 杖を手に立ち上がると、いきなり「エターナル・フレイム!」と、魔法を唱えてきた。

 杖を向ける先の、可燃物にボッと火がつく。それは近づく者、目に付く範囲を自然発火させる、恐ろしい魔法だ。直線方向にいると、ボクも火だるまになるので、動き回ってかわす。

 しかも、ボクも魔法ならネル仕込みの上級者だ。木を削って尖らせたものを上空へと飛ばし、彼の頭上を狙って落とす。刺さっても命を落とすほどではないが、大怪我だ。老人も杖を向け、降り注ぐ矢を焼き尽くそうとするので、その間にボクも接近を試みる。


「ふははッ! やるようだが、まだまだ。魔法勝負なら、負けん……ぞ?」

 老人も気づく。自分の足元が凍り始めたことに……。慌てて動こうとして、膝から下がパキンッと折れ、そのまま尻もちをつく。

 地下を通して、ゆっくりと氷魔法を通していたのだ。この辺りはカルスト台地で、洞窟も多い。地下にすきまがあり、そこに冷気を通すことで攻撃する。上空からの攻撃はそれに気づかせないための、ダミーだったのだ。

 倒れた老人に近づき、ドミネートする。

 終わった……。老人は最早、戦うことすらできない。

「対冒険者戦闘でも、君の強さは変わりないようだね……」

 隠れていたリクィデーターも、近づいてきてそう感嘆する。彼女の後ろには、見たことある者も、そうでない者も、多くの冒険者たちが控えている。

「動物をもちだされたから、ボクも出てきたけれど、本来これは表の仕事だろ? 後は任せるよ」

「また一緒に仕事したいけど……」

「やめておいた方がいい。ボクは裏専門。裏の仕事は人族がやらないと、後が面倒だからね」

「ふふふ……。近いうち、会えると思うよ」




   ~~ 帰宅後すぐ…… ~~


 潜入調査を終えて、三日ぶりに山小屋にもどってきた。

 フィアとルゥナ、ミズクが飛びついてくる。

「途中で一度、連絡は入れただろ?」

「でも、顔を見ていないから……」

 フィアはぐっとボクの胸に顔をうずめて、こすりつけるようにする。

「三日も我慢してたのん!」

 背中から抱きつくルゥナは、早くもボクの耳を甘噛みしてくる。

 左腕にしがみつくミズクは、嫌々をするようにボクの左腕を体全体で振り回してくる。「長くなる」と伝えていたけれど、ボクもどれぐらいかかるか分からず、期間を伝えていなかったのだ。

「動物を魔獣にする犯人たちは、捕まえたの?」

 これはネルが尋ねてきた。ボクは小さく首を横にふる。

「末端はね。でも、原因物質があそこに固有のものなのか、そうでないのか、これから調査をふくめて時間がかかる。それに、今回の件を引き起こした黒幕も、まだ不明だよ」

 コントートはただの販売店。工場の一つはつぶしたけれど、それを運用していた奴らはナゾのまま。見張りの元冒険者の老人も、働いていた獣人族も、ドミネートをして尋ねても、答えることができなかった。これから名前のでてきた仲介者を、ギルドが追いかけるそうだ。


「もう出かけなくていいのん?」

「今回の件は、もう終わりさ。ちょっと後始末はしないと、だけど……」

「じゃあ、エッチするのん!」

 三日もおあずけで、ルゥナも我慢できないようだ。でも、それはボクも同じで、ミズクを新しくつくった囲炉裏のある部屋で寝かしつけ、三人でロフトのある山小屋にこもる。

 二人を背中合わせにすわらせ、ボクが横から彼女たちを弄ってあげる。二人を待たせたお詫びに、ボクの方から奉仕してあげるのだ。でも、ルゥナは待ちきれず、自分からボクのそれを握ってくる。

 どちらかといえば前戯も好きなフィアと、いきなり本番でも仕上がっているルゥナと。ボクも三日ぶりで、あまり弄られると危ないので、ルゥナを寝かせて、彼女から先にしてあげる。

 でも、その間にフィアを膝立ちさせ、後ろから彼女の胸をさわる。フィアの胸は日進月歩、最初に出会ったころは手で収まるぐらいだったのに、今では手からこぼれ出るぐらいになった。

 今でも強い弾力で、まだまだ大きくなりそうな予感もする。その先端にある小さな突起は、指先でこすってあげると、未だに敏感に反応してくる。


 ルゥナの中は、ぎゅっという締まりが強い。手でしっかりと握られた……それぐらいの強さだ。腰をつかうと、彼女自体が大きく揺さぶられるほど、ボクの腰に体全体がついてきてしまう。

 逆に、フィアがその体を押さえて、抜き差しがスムーズにいくよう、配慮している。

 ルゥナはすぐに「はふゅ~ん……」と、イッてしまった。

「そのまま……」ボクは膝立ちをしたままのフィアに、後ろから責める。今度は手をルゥナの胸へともっていく。

 彼女の胸は逆に、ほとんど変化がない。エルフ族は成長がゆっくりなので、体の成熟もゆっくりのようだ。年上だけれど、エルフ族の中ではまだ少女といってよい年齢でもあり、胸も少女のようなそれだ。先端は敏感で、弄ってあげるとすぐに気持ちよさそうに反応する。

 フィアの下にいる彼女は、その手をフィアの胸にもっていく。女の子同士でも、フィアのそこはやはり気持ちよいようで、ボクに後ろから、ルゥナに下から、フィアも「嫌……、嫌……」と、真っ赤な顔をして目を閉じ、頭を左右にふって、その気持ちよさを耐え、少しでも持続させようとしている。

 そのとき、ふと気づくとロフトの梯子のところから、頭が半分覗いていた。ミズクがこっそり覗いているのだ。

 ボクが気づいたことに、彼女はさっと頭を隠してしまうけれど、でも逃げだすわけではなく、まだその場にいる。

 興味本位……ではなさそうだ。親と離れたときが大人……。彼女は早く、自分も大人になりたいのかもしれない。ボクも覚悟を決めた方がよいのかもしれない、と改めて思った。







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