第7話 責任の在り処

   ~~ フィアとの初めて ~~


 ボクは山小屋へともどってきた。フィアはあまりにショックが大きくて、寝込んでしまう。

「何があったの?」

 ネルに事情を説明した。町で、獣人族がひどい扱いをうけていたこと、また命を狙われたこと、色々とショックが大きかったこと……などだ。

「獣人族がどう扱われているかを知らなかった……なんて、やっぱり記憶を……?」

「そうらしい。トールブの町で、奴隷商人につかまったときからの記憶しかないようなんだ……」

 監獄にいたときも、自分の身にこれから何が起こるのか? それを理解できていなかったから、突然あらわれたボクとリクィデーターにも恐怖を感じなかった。ふつうの獣人族の娘なら、さらわれた時点で自分の運命を呪い、覚悟を決めていたはずでもあった。

「あなたが預かるって決めたのなら、きちんと責任をとりなさい」

 ネルはそういって突き放す。責任……ボクの心には重く響いていた。


 山小屋では、寝るのはロフトである三畳程度の空間だ。そこに藁をつんで、上に布をかぶせてある。ボクが梯子を上がると、向こうをむいてフィアが寝ていた。

「この世界では、獣人族がひどい扱いをうけている。ショックをうけたかもしれないけれど、この現実は受け入れないと……」

 ガバッと起き上がったフィアは、まっすぐにボクを見つめてきた。

「あなたも、私を奴隷にするの?」

「ボクは誰かを奴隷にしたり、虐げたりするつもりはない。こうして人里離れた山奥で暮らすのも、動物たちと仲良く暮らすためだ。それは獣人族であっても……君でも変わりない」

「仲良く……?」

 泣き腫らした、潤んだ瞳でまっすぐに見つめられ、ボクの心は止まらなくなった。責任……。その言葉が脳内をリフレインし、彼女に顔を寄せると、その柔らかな唇をボクのそれで塞ぐ。

 フィアもパッと顔を離し、どうしていいのか? 戸惑った表情をしている。

 ボクもハッと我に返る。

「ごめん……。こんなことをするつもりじゃ……」

「私のこと、獣人族だから……」

「そうじゃない! ……君のことが好きだ。一人の獣人族として……否、女性として大好きだ」

 もう一度顔を寄せていく。ここで拒否されたら、諦めようとボクも思っていた。でも、フィアは静かに目をとじ、ボクを受け入れてくれた。先ほどの不意打ちとは異なり、フィアのその部分も緊張し、硬くなっているのが分かった。

 でも薄く引いてもらった紅もあり、きらきらと輝くそこは、軽く触れただけでも柔らかく、やや湿り気もあって、ボクの中に電気を走らせるのに、十分な破壊力をもっていた。


 ゆっくりと唇を放すと、彼女はか細い声で「信じて……いいの?」

 その表情をみて、ボクも理解した。彼女は不安だったのだ、と……。記憶喪失で、自分が何者かも分からない中、獣人族がうけるひどい仕打ち……。一緒にいるボクでさえ、信じられるのか……。

「ボクは君を、一人の女性として愛する。君を……守るよ」

 もう一度、唇を重ねた。今度はボクの意志が、しっかりと伝わるように彼女をしっかりと抱きしめる。

 そのままベッドに倒すと、彼女は緊張しているのか、少し身を固くする。でも、昼に着せた服は、とても脱がせやすくできていた。

 部屋で、二人きりで、普段着を脱がせていく。すると、彼女の肌が露わとなる。ケモノ耳と、尻尾以外はとても白く、またちょっと幼い感じもある。それはお椀を逆さにしたような二つの膨らみも、まだ小ぶりであることも影響するだろう。

 腕で胸を隠そうとするけれど、それは先端で存在を主張する、ピンクの突起が恥ずかしいからか? でもボクはその腕をどかし、両手で隠すように握った。

 彼女のドキドキが伝わってくる……。思ったより張りがあって、弾力がつよい。

 これが女の子の……おっぱい! 植物人間になってから百年以上、妄想だけが先走ってきたけれど、これが女の子の胸……。その弾力、温かさにずっと握っていたいと思う。

 でも、そこにそっと唇を寄せ、その直前で大きく口を開けると、丸い膨らみを外輪から口に含む。舌先をその先端に這わすも、抵抗してつんと立ったまま。唇をつかって全体に刺激を与えると、彼女から「くふぅん……」と、甘い吐息が漏れた。


 まだ淡い叢すら生えていない丘を、ゆっくりと指を滑らせていく。でも、きゅっと足をしぼってしまい、指がそこで止まってしまう。

「怖い?」

 目からは涙がこぼれ落ちそうだけれど、彼女は首を横にふった。頑張ってくれている……。そう思うと愛しくて、彼女のことをぎゅっと抱き締めた。

 互いの体温、柔らかさ、鼓動を感じて、彼女の緊張もほぐれていく。改めてボクも指を這わすと、彼女の入口へと至ることができた。その周りを少しずつ、指で刺激を加えていく。

 彼女が少しでも受け入れやすくなるように……。

 ゆっくりと中指をその隙間へと沈めていく。でも、まるで拒絶するよう、周りから肉ひだが集まってきて、中指をもぎとろうとするぐらい強い力で締め付けてくる。ボクは人差し指と、薬指をつかって、止めるとこなく周りの刺激をつづける。

 彼女も何が起こっているのか? 悟ったのだろう。ボクの首にぎゅっとしがみついてきて、ほっぺたに吸い付く。

 声をださないようにするため……? 歯を立てられていないので、嫌がっているわけではない、と意を強くして、さらに指をしずめていくと、指先に伝わる感覚が少し変わった。

「ひゃんッ!」


 ここか……。女性の感じ易いところ……と話には聞いていた。ボクもここに辿りついたのだ。でも、これで終わりじゃない。さっきから、ずっと居場所をさがしていたボクのそれが、そこに至って、はじめてフィアと繋がることができるのだ。

「行くよ」

 フィアもしっかりとボクを見上げて、小さく頷く。

 油断すると、咬み千切られそうなほどの締め付けでもあって、そもそも拒絶するかのように、中々入っていかない。

 フィアは痛いはずなのに、両手を頭の上にある壁について、しっかりと自分の体を支える。それでボクも力をかけ易くなった。

 ずんッ‼

 さっき指先で感じたそこまで……否、もっと先まで辿りついた。

「はぁんんんん……」彼女も切ない声を上げる。そのとき、彼女の両の目からこめかみへと、涙がこぼれ落ちるのをみた。

 初めてのことで、痛いはずだけれど、彼女はぎゅっと唇をしぼって、それに耐えている。

 そんな彼女のことが愛しくて、愛しくて、ボクはそっとその頬に流れおちた涙を、指でぬぐってあげる。彼女はボクの右手をつかみ、頬ずりするように顔に押し付けたまま握りしめる。

 つながっている……。互いにそう感じることが、幸せでもあった。


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