099 マガリ案件No.002_01,03,06,07,08,11
暴力団にも、
そもそも暴力団自体、集団で反社会的な行動を起こして利益を上げれば、暴走族等の半グレ集団でも対象になることがある。世間で言う『極道』だけが、該当するわけではないのだ。
今回、
の、だが……
「いくら潰れた
「いいから、早く金庫開けろって!?」
駐車スペースは視界を覆われた状態で温室化され、大麻草が栽培されている。『
なので現在、地下の隠し金庫の前に居るのは『
「創の奴、陽動しくじりやがって……後で
「だから愚痴る前にさっさと開けろよ! こっちはもうすぐ
下部組織とはいえ、元が
平たく言うと……英治一人で十数人相手に銃撃戦を繰り広げていた。現在進行形で。
「誰だよ、『『
「お前だ、お前」
「だから言ったんだよ、『せめて
銃弾を込め終えた
「お前な……その無計画な
「『
「出来の悪さにも限度があるわっ!」
腕だけを出し、
ちなみに、『巧遅は拙速に如かず』とは、『多少雑でもいいからさっさとやれ』という意味に近い言葉である。間違ってはいない。
「せめてさっさと金庫開けろよっ!?」
「いや、たしかに厄介だけどさ……
腰程の高さもある金庫の扉に自身の背を預けながら、.45口径
「あいつ等
「……で、その
再度銃弾を込め直している英治に、朔夜は床上に滑らせる形で
「
「…………は?」
正真正銘最後の一発を込める手前で、その指が止まる。
「いや、元々買い出しに外出た途端に、『
「その前にっ! この状況に陥った件について責任取れ、」
――ブォン!
「って……うおっ!?」
銃弾が降り注いでいた方から、一台のスポーツカーが乗り込んできた。英治達を庇うような形で停車した後、運転手側の扉が開く。
「おい
車から降りながら、睦月は英治に手持ちの銃弾を、朔夜には待ち望んでいた物を投げ渡してきた。
その日、『
「……あれ、荻野君?」
「どうも……」
随分珍しい相手が来たものだと、田村は少し席を外し、指定された番号の品がある棚へと向かう。そこまで離れていないことや、他の客が近くにいないこともあってか、睦月から声を掛けられた。
「しかし……普段、バーで会う時と格好違い過ぎないか?」
「そりゃそうでしょ。接客業なんだし……」
睦月にそう返しながら、ピアスを外して人当たりの良い髪型にしている田村は、手に取った商品を掲げて見せた。当人から首肯を受けてからレジへと戻り、バーコードを読み取って会計手続きに入る。
「それよりも珍しいじゃん。荻野君
「いや、ただのパシリ」
アプリの電子マネーで会計を済ませ、受け取った
「ふぅん……また女?」
「またって何だよ、またって。まあ……女と言えば、女か」
急いでいるのか、レシートも無造作に仕舞ってから、睦月は去り際にこう言い残していった。
「血が繋がってないとはいえ…………
そして、現在に至る。
「
「
――……シュボッ!
睦月から受け取った煙草、『Adam's Apple』のフィルムを剥がしてケースを開け、中から抜いた一本を咥えた朔夜は、昔弥生から貰ったシガーソケット型のライターで火を点けた。
「ふぅ……合ってる合ってる。おかげでようやく気合が入ったわ」
デメリットばかりが目立つ煙草にも、実はわずかにだが、メリットもある。
というより……行き過ぎた薬が毒となるように、ニコチンもまた
もっとも……ある意味
「あ~……良し良し、頭が回ってきた」
そんな煙草を咥えたまま立ち上がりつつ身体を解し、ようやく朔夜は金庫を開ける為に、ダイヤルに手を伸ばした。
「そんじゃ、さっさと開けるから……もうちょっと時間稼いでくれ」
「本当早くしてくれよっ!」
到着したばかりで(累計業務時間以外の)不満がない状態の睦月とは違い、
「……そんなにまずい状況だったのか?」
「主にお前の姉貴のせいでなっ!」
そんな
「…………『全部暴いてやる』」
静かに
――――――――――――――――――――
To all
Be careful. You're being targeted.
* 01,03,06,07,08,11
――――――――――――――――――――
「まあ、半分も参加してた上に
そして、
「にしても……あの男、どっから
疲労困憊な者が混じる中で、勇太が筋肉量に見合わない器用さで札束を数えつつ、そんなことを口走ってきた。
「……何それ?」
「ああ……そういや、そんなこと言ってたな」
弥生が首を傾げていると、『
「まさか私達
「いや、それが……根っこが同じっぽいんだよ」
数え終えた札束を置き、勇太は一度創に話した説明を繰り返した。
「でも……あの方法って、たしか
英治がそう答えるのも、無理はない。ある意味では、ガキ大将の実家を敵に回すようなものだ。普通は手を出そうとすらしないだろう。
「え……ただ単に、
そして、何人もが同じことを考えていた時だった。睦月が、その言葉を挟んできたのは。
「……どういうことだ?」
「いや、だからな……」
代表として、勇太が問い掛けてくる。マガリに参加した全員からの視線を浴びながら、睦月は欠伸交じりに答えた。
「……それ関係の資料、普通に学校の図書室に残ってたぞ?」
一拍間を置き、全員が叫んだ。
『はあっ!?』
「あんた等うるさいよ。近所迷惑考えな」
煙管片手に、一歩下がった位置で注意してくる和音を気にせず、勇太が睦月に詰め寄ってきた。
「おまっ、どういうことだよそれっ!?」
「ほら、
「そういや、戦前の本とかもあったような……」
睦月がよく入り浸っていた為、
「まさか……奥の本棚に突っ込んであった、あの
「そう、それ」
「元々、あのやり方って発達障害者……昔で言うところの
実際、『最期の世代』十二人の中ですぐに覚えたのは、元々管理していた家の人間である
「発達障害って程度や症状にもよるけど、基本注意散漫なこともあれば、逆に過集中になることがあるだろ? その集中力の差を研究している過程で偶然見つけたのが、例の
「ちょっと待て……睦月、一つ聞いていいか?」
その説明をどうにか咀嚼した勇太が睦月に、おそらく他にも疑問に思っている人間が居てもおかしくないことを聞いてきた。
「要するに何か、もしかして……発達障害じゃないと
「というか……『程度の差はあれど、
そこで視線が一斉に、この中で
「言っとくけど英治……ボクも
「え、そうなの?」
「頭のネジが飛んだ時に、その拍子で覚えたんだとさ……」
当時のことを思い出してか、紫煙の混ざる溜息を吐きながら、朔夜は一瞬だけ、天井を見上げた。
「つまり『
「だから
暢気に答えてくる創に、睦月もそう返した。
「相性次第とはいえ、
「あ~……それもそうか」
「もしかして……婆ちゃん、そのこと知ってた?」
「大人って汚い……」
「そんな大人になっちまったんだよ。俺達も」
大人になる度に、知りたくない真実を知ることになる。
この場に居る全員が、やるせない気持ちを抱くことになったのだった。
「……いや、ちょっと待て」
全員の気持ちが解散に流れかける中、創は睦月の方を向いて口を開いた。
「お前それ知ってて……何で俺達に言わなかった?」
『…………あ』
先程の弥生とは違い、全員が視線に同一の疑問を浮かべている。
皆の注目を一身に受けつつ、睦月は頬を掻きながら答えた。
「いや……
求められた成果を用意するのが仕事だ。そこに過不足が生まれてはならない。
たとえ出来が良くても、蛇足であるならば事前に話を通しておかなければ、余計な諍いを生むことも有り得る。だから睦月も、聞かれたこと以外は自分から話す真似はしない。かつて、英治との一件でそれを学んだから。
しかし、『それとこれとは関係ないだろっ!?』と今になって聞かされた面々は……一斉に睦月へと銃口を向けるのだった。
――某国にて。
「『
豪奢なジャグジーバスに身を浸す中、遠い国で小さな麻薬組織が潰れた……その国に居ない人間には何の関係もないニュースが、大画面の壁掛けテレビから流れてくる。
けれども……
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