第4話 魔力
この世界には魔力が有る。
それは全ての生物に備わっているもので、人間も例外では無い。
「「俺達も魔法が使えるのか」」
2人そろってテンションが上がる。
『実際、今の儂は拓の魔力を吸収して動いておる。浩司の魔力でも問題ないぞ。』
自覚意識は無いが、本当に俺達も魔力を持っているのか。
しかし魔獣と言われる強力な生物もいて、人間なんて簡単に殺されてしまう危険な世界でもあるらしい。
一応、この家の周辺には結界が施されていて魔獣の侵入を阻んでいるらしいが
結界の一歩外に出たら、命の保証は出来ないそうだ。
身を引き締めてグリムの話を聞いた
グリムに言うとおりに、目を瞑り自分の中へ意識を沈めて行くと体の中に大きな塊が感じられる。
『どうじゃ、感じられたか。次に、塊に向かい力と成すよう強く念じてみるんじゃ。』
グリムが言う通り念じると色がが感じられた。
色を感じると言うのも変な感じだが、確かに色が感じられている。
浩司は赤、黄緑、青、黄、水色を感じたらしく、
それぞれ火、風、水、雷、氷の属性で攻撃力に優れているとの事。
特に雷と氷の属性は上位魔力、魔法と言われ攻撃力が強いらしい。
俺は白、黒、茶、緑色を感じ、
それぞれ光、闇、土(金属)、木の属性で攻撃力は弱いがサポート、防御力に優れているらしい。
光と闇の属性は特殊魔力、特殊魔法と言われているらしい。
この世界に9属性の魔法が存在し俺と浩司で全属性をカバー出来ていた。
早速、魔法の練習!と行きたい所だったが、「グ~ッ」とお腹が鳴った。
色々な事が有り過ぎて、この世界にきて何も食べていない事を忘れていた。
『ハッハッハ。慌てる必要は無いじゃろう。先ずは食事でもしたらどうじゃ。』
もしかして魔法で食事が出てくるのかと期待したが、自分達で食材を調理するしかなかった。
300年前に準備した食材か…グリムが準備しておいた金属の箱の中は真っ暗で何も見えなかったが、恐る恐る手を入れてみると新鮮な食材を取り出す事が出来る。
この箱も光と闇魔法を使った魔道具らしく、中は広く拡張され大量の食材が保管されていた。それも300年前の新鮮な状態でだ。
塩、砂糖、油については元の世界と同じだが、他の調味料は無い。
その変わり、ソースぽいタレが有った。
主食は小麦粉、他にキャベツ、人参、ピーマン、豆に卵と見たことのない果物
とりあえず炒め物を作り、パンが有ったので主食としたが、これがとても固い。
日持ちするように焼き固めるそうだが硬すぎる。
そもそも、劣化しないなら柔らかいパンでも良いと思うが、安かったのだろうか。
水で ふやかしながら食べてみたが、ハッキリ言って不味い。
これは、食生活を改善しないと人生の重要な楽しみが失われてしまう。
食事後はグリムの魔法講座
魔法とは己が持つ魔力に方向性を付け発動させたものだ。
呪文を唱えたり、魔法陣に魔力を流す事で発動させることが出来る。
呪文による魔法の発動は、個人の持っている属性に合った魔法しか発動させることが出来ない。
つまり、俺は火属性の魔法等は使えない。
魔法陣による魔法の発動は個人が持っている魔力の属性に関係なく発動が可能だ。
ただし、火を起こす魔法陣を火以外の魔力で発動させるのと魔力の変換効率が悪化する。
魔力で直接魔法陣を描く方法もあるが魔法陣自体が複雑なため、一般的には魔法陣を描いてある魔道具という道具を使って発動させる。
大枠はそんな感じだが、色々と細かい事も有る。
とにかく、使えるように練習だ。まずは基本となる魔力操作から。これが出来ないと魔法を使う事も出来ない。
自分の中に感じた魔力を動かして体の外に出す。
水が体の中を流れるイメージで動かせばいいと言われたが、何度試してみても全く動く気配も無い。
これが出来ないと魔法が使えないと言うので、暗くなるまで続けた。
動かしている感覚を得られたが、放出できたのは光属性の魔力だけだった。
浩司の方は、とりあえず魔力を少し動かす事は出来るが放出まで行っていない。
それにしても、魔力を動かすだけでヘロヘロだ。
グリムに言わせれば、それも慣れらしい。
腹も減り、晩飯なんだが、あのパン以外の物を食べたい。
グリムは優秀な魔法研究者だったらしく魔法全般に深い知識を持っているが、それ以外については殆ど興味を持っていない。
いわゆる、研究者バカというやつなんだろう。
少しぐらい料理の知識を持っていて欲しかった。
「カップラーメンや弁当は無いのか」
なんて食糧庫を漁っている裸のマッチョは無視して食事作り。
料理は趣味だったが、ダシや調味料も無い状態ではハードルが高すぎる。
この材料で出来る食べ物は、お好み焼き!
一応、お酢の代わりに柑橘系の汁を混ぜてマヨネーズも作ってみた。
それなりに美味しいが、何かが違うお好み焼き。
やはりソースが違うんだよな。
それでも浩司は美味しいと言って、お代わりをねだってくる。
マヨネーズを大量にかけて頬張る様は、冬眠から覚めた熊って感じだ。
こんな風に美味しそうに食べられると作った甲斐があるよな。
それにしても素っ裸での生活は、変な意味で意識をしてしまう。
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