うさぎとシマエナガのその諺どないよ

いすみ 静江

諺コントあるあるないない

「どうも! うさシマでーす!」

「こんばんは! うさシマだったりなかったり?」


「ぼくが、シマエナガのシマエナっち」

「ぼくが、うさぎのうさぽん」


「チャージ! うさシマ!」


「うさぽん。よく、『二兎を追う者は一兎をも得ず』っていうじゃない」

「まあ、特に女は一人にしとけって話? シマエナっち。女のことで、『兎の登り坂』みたいに、とんとん拍子に行くかって話だ」


「けっとかなしだよ。うさぽん」

「そうそう、シマエナっち。鳥に関わる諺は多いよな」


「赤ちゃんから始まる『鸚鵡返し』。馬鹿にされたように感じる鳥もいるけれども、喃語もこれから来るのかと思うよ。うさぽん」

「うちは、『鳶が鷹を生む』だな。いいうさぎが生まれたよ」


「じゃあ、うさぽんは、平凡な親なんだね」

「子どもうさぎを褒めて欲しいよ、シマエナっち」


「所詮、『烏合の衆』さ。うちのシマエナガ家族」

「親も子も役に立たない鳥の集まりってことだよ?」


「じゃあ、烏繋がりで、『烏の行水』みたいに仲がいい」

「どんなお風呂やねん!」


「いや、すまねえ。『今泣いた烏がもう笑う』だった」

「お前のタフさが羨ましい」


「あのさ、もう烏から離れよう。『目白押し』の目白ちゃんだ」

「どうして、ちゃんなの。物事が続くことも例えられるから、シマエナっち家の繁栄万歳だな」


「おお! 偶にはいいこと言うね。『雀の涙』がちょちょぎれるね」

「そんなに少ないんかい!」


「怒るなや。そうそう、『鶴は千年亀は万年』って鶴は縁起がいいな。うちのシマエナガ家族、繁栄万歳だ!」

「いいか、『鶴の一声』だ。『掃き溜めに鶴』ってのもある」


「ひど……。うさぽん、酷過ぎ」

「いや、褒めてんっすよ。シマエナっちが、その詰まらない所にいる美しい鶴だって」


「やややや。『鳩に豆鉄砲』だな。『鵜呑みにする』よ。うさぽんが実はいいうさぎだって、今、知ったさ」

「いいか! 『鶏口となるも牛後となるなかれ』だ!」


 ババーン!

 うさぽんは滝のように汗を掻きながら、お笑いの星を指さす。


「やっと、地の文? なしで行くのかと思った」

「ははは。『立つ鳥跡を濁さず』だ。少しは、書かないとな」


「うさぽんの小説作法では、地の文があるのが綺麗だと思うのか」

「うん、地の文をババーン! 宣言は、『一石二鳥』だな」


「また、余計なことを。『雉も鳴かずば撃たれまい』とかじゃないの」

「かく言うシマエナっちは、『能ある鷹は爪を隠す』って知ってる? いまのうさぽんの心境」


「そうっすね。『飛ぶ鳥を落とす勢い』っすね。パネッス」

「シマエナっち、冷たくね? 『鴨が葱を背負って来る』ね」


「それ程のあつらえ向き! きっと来るからね。うさぽん」

「こりゃあ、『鳶に油揚げを攫われる』た」


「そんなことしてないやい」

「もう、うさシマに、『閑古鳥が鳴く』よ」


 チャンチャン。


【了】

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