狐の婿入2
その毒性は強く、無味無臭で上流階級者の暗殺に使われていたと文献に記されている
妖怪の中でもトップクラスの危険度を持つ猛毒、最近は日本に渡ってくる者や顕界で大半過ごす者が増え、最近のニーズや生き方を考えて人の姿を取っているらしい。
毒って言うのは薄めれば薬にもなる
だからなのか大体の鴆族は薬師の称号を意図も簡単に取れるほど、薬学に精通しているんだとか。
読んで字のごとく、漢方などにも使われる犀のあの角
なんでも何時からから中国では犀角は鴆毒の効果を打ち消す、という迷信が生まれて犀角で出来た杯をこぞって求めたという。
迷信、とまで言われている当たり真実味は低いがどうやら犀角は犀角でもごく稀に産まれてくる普通の犀で、ホンモノが取れるらしい
突然変異体質とでも言うのだろうか、見た目などは普通の犀なのにその犀の角は本当に鴆毒を打ち消す事が出来るそう。
あの顕界の食べれる方の月餅じゃないらしい、あの世……天国、天界の方のあの世にある名物らしい。
結局食べ物には変わりないのか……
なんか凄い美味しいらしい。
今回こそは食べれない物、月に1番近い天国の山で取れる天然石。
見た目は楕円形でなんでもそのまま白い、らしくて何よりも特徴的なのは温度と感触なんだとか
感触はスライムみたいにプニプニもちもちらしいけど形状記憶はあるからどれだけ触っても握り潰しても楕円形にもどる
そして温度、これはどうやら個体差らしくて人間の体温みたいに一つ一つ温度が違ってるらしい
そんな特徴から月餅石は別名“
日鳥…日本の陽の鳥、言わば八咫烏の事を指すらしい。
八咫烏族の中には日鳥一族と三足一族の主に二つの部類に別れているらしく今回は日鳥一族、水は秘伝の神水が湧き出る泉を日鳥一族が管理しているらしく
何時もそこから分けてもらっているんだとか。
目代様とは別れて会社に戻り、オフィスに入って自分のデスクに座ると一通りお使いの内容の詳細を記したメモを確認して、別れ際に目代様が言っていたことを思い出す
「“期限はいつでも”……一番困るやつ」
「……花壱殿からのお使いですか、本当に受ける気なんですか?文さん…私も着いては行きますがもし何かあったら…」
「ん?お使い?先輩が保護者モードになってるけど文ちゃん何頼まれたのぉ?」
斜め前のデスクのパソコンの奥からヒョコリと顔を出して?を頭に浮べるジュン先輩に目代様から頼まれたものを軽く説明する。
シレッと舌打ちしたカミさんは気にしないで置いた方がいいと思って何も指摘しない
頼まれ事の説明が終わった頃には、ジュン先輩の顔は先程までののほほんとした笑顔から一変して
細く閉じられた目はそのままに眉を眉間に寄せて笑顔が消えて真顔になった。
「……朧灯屋、ねぇ」
「知ってるんですか?ジュン先輩」
「知ってるというか何と言うか…うーん、まぁ今回は梅様ん所のお使いなら良いけどぉ
気を付けなよ〜?あそこ気軽に行っていい場所じゃないから」
「?分かりました」
ジュン先輩が態々忠告してくれるほどだなんて、朧灯屋って一体どういう所なんだろう……周りに話を聴けば聴くほど謎になっていくんだけど
ジュン先輩とカミさんの反応を見る限りじゃある意味、悪い方で札付きっぽいな…
「文ちゃんの目は少し紫混じりな綺麗な濃い桜と木槿色だからねぇ……」
「あぁ…珍しいですよね、文さんの瞳は」
「私の目?」
「ビー玉の様な、万華鏡のような……でも何よりもその“価値”をあげているのが
紫混じりってところだよね〜」
「紫の瞳はどんな生き物とて珍しい色なんです、ですからその瞳を手に入れようと売買の対象になったり誘拐されたり……最悪な事に少しでも紫が瞳に出ていれば、それすらかなりの価値がつきます
文さんの瞳は常に誰かに狙われてしまう迷宮の宝石のように希少価値があるんですよ
私は直接会ったことはありませんが朧灯屋の店主は大変相当な蒐集家と聞きます
紫混じりと宝石紛いな目だと尚更、噂通りであれば店主の興味を唆るでしょう……
なので本来は文さんはあまり行かせてはいけない場所なんです」
……私の瞳、確かに紫が混じってるし瞳が変わっているという事は知っていたけれどそこまでとは思わなかった
それに私は紛い物、本当の紫はあの子だもの
だとしたら……もし、私が死んでる今あの子がそんな目に遭っていたら、私の責任だ
家系図、というか文献というか、そういう大昔から伝承されてる物があってそれによると私の先祖がそれは大層目立つ紫草の瞳を持っていたらしい
紫草はムラサキ色を指して使われている
私はその血を少し引いた、あの子は私よりその血を色濃く引いてしまった
だから私の目は少し不思議、あの子の目はもっと不思議
あの子は初代様の写しと呼ばれていた、あの子を私は…今後、この生活にも慣れてきたら私はしなくちゃいけない
「蒐集家……それって見境ないんですか?」
「…と、言いますと?」
「蒐集家は蒐集家でも中には拘りを持つ方もいますから……その朧灯屋の店主さんはどうなんだろうと思って」
カミさんは本当に噂程度でしか聞いた事がないようで、さぁ?といった風に肩を竦めて頭を傾げた。
何かしら……というか絶対私達三人の中では朧灯屋について知っているであろうジュン先輩を見ると、何やら顎に手を当てて考え込んでいる。
何か思い当たる節でもあるのかな?
「……無類の蒐集家って訳じゃないと思うよぉ?一応拘りはあるっぽいし」
暫くするとその口を開けて、特徴的な九州方言のイントネーションでそう真顔で告げるジュン先輩
やっぱり本当に何か知ってるのか
「拘り…例えば?」
「彼処の店主はなぁ
んー……稀代?いや違うな…語り草でも語り種でも無い、何だ?なんで言えば良いんだろ
えーっと…あー……あ、そうそう
アレだアレ!風景だ!風景、景色を集めてんの彼奴!!」
「「……景色?」」
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