第8話 手作りハンバーグ

 こうして席は僕が昨日ノートに書いた様に、僕の隣には徹くんが来た。

 正直、不思議な気持ちだ。信じたくはないけれど、僕が書いた事が現実になっているようで……怖いようで、僕はとても不気味だった……。


ーーよし、悩んでても仕方ない。今日も書くぞ!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(ノートの中)


 僕の隣の席に来た徹くんが言った。


「こうして、僕らは親友になるんだよ!これからもよろしくね?!仲良くしようよ」


「親友になんてなれるわけないだろ??」


 僕は冷たくそう言い放った。

 しかし徹くんは変わらず、口角を少しだけ上げて笑って見せるだけだった。

 

「秀君は、何で徹くんの事を毛嫌いしてるの?!」


 その言葉に気がついて、僕が振り返ると目の前にいたのは、中村朱里だった……。

 僕の幼馴染みだと勝手に言っている少女だ。


 その場から逃げ出すように、僕は思わず走り出した。

 今日は先生たちの会議のため、半日で終わる日だ。チャイムが鳴り響くのと、ほぼ同時に帰り支度をして、僕は急いで家に向かった。 


 今日はもう学校に用はない。

 

 家に着くと僕は部屋に籠もる。僕にとってはいつも通りの日課だ。

 

「ただいま。秀、帰ってるの?」


 階段の下からお母さんの声が聞こえてきた。


「うん。さっき帰ってきたよ!」


 階段の上から顔を覗かせて、僕はお母さんの顔を見て、お母さんに聞いた。


「お母さん!どこに行ってたの?」


「買い物よ!買い物……」


 お母さんは手にしていた買い物袋を持ち上げて、少し照れたように笑った。


「お帰りなさい。ねぇ、お母さん……」


 僕は急いで階段を下りながら、お母さんに声をかける。

 階段の下についた時、僕は聞いた。


「お母さん、今日のご飯は何?!」


「今日はハンバーグよ?もしかして他に何か食べたいものあった?」


「ううん。何となく聞いてみただけ……そっかぁ。ハンバーグ、久しぶりに食べるよね?!」


 お母さんの手作りのハンバーグを食べるのは、ホントに久しぶりだった。

 一ヶ月ぶりぐらいかも知れない。


 ここのところ、お母さんの仕事が忙しいのか?出来合いのもので済ます事が多くなっていたからだ。


「僕、ご飯が出来るまで書いてるから、ご飯が出来たら教えてよ!」


 お母さんはいつものように、優しく笑って言った。


「はいはい。わかってるわよ!小説……頑張ってね」


「うん。ありがとう。僕、頑張るよ!」


 僕は二階の部屋で小説を書きながら、お母さんの手作りハンバーグが出来るのを待つ事にした。





 


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