第4話 幼馴染み なかむらあかり
(ノートに描いている物語)
僕は昨日の不思議な体験を、誰かに聞いてほしくなったから、それを聞いてくれるキャラクターとして、中村朱里(なかむらあかり)。
そのキャラクターは僕とは幼馴染みと言う関係性にしよう。
出会う場面は……学校からの帰り道。
幼馴染みの朱里に声をかけられる。
そんな流れになると自然だな、と思いながら、描いていく。
現実の中で、幼馴染みと言う存在が僕にはいないから、どんな感じなんだろう?
僕は「幼馴染み」その言葉の意味を調べてみた。
辞書には、こう書いてある。
幼馴染み 幼い頃から仲が良い人、あるいは物心ついたときからの顔馴染みなどを意味する表現。
そうか。じゃ、昔から近くにいた人を指す言葉なんだ。
僕はそう理解した。
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(ノートの中のストーリー)
何気なく、僕はノートをめくり、続きを描き始めた。走り書きで、前後が繫がっているのか?どーかも定かではないようなものだった。
友達のいない僕には学校での一日は、特に何もなく静かに通り過ぎていくだけの時間だ。
僕には友達がいない。
だけど、まったく誰とも話さない訳じゃない。普通より少し少ないかも知れないけれど、その時々で話す相手はいる。
それ以上の友達の存在は、今はいらない。
何となく学校での一日を終えると、急いで荷物を持って、いつもの様に僕は家まで数分の距離を歩き始める。
タッタッタッタッ。
後ろの方から、誰かが走ってくる音がした。
「ーー君、もしかして、相原秀くんじゃない?!」
突然、そう声をかけられ、僕は足を止め振り返った。
「え?そうだけどーー君は?!」
見知らぬ女の子だったが、向こうはどうも僕の事を知っているらしい。
僕にはまったく身に覚えがない。
恐らく初対面だろう。
ーーこの子は誰なんだろう?!
僕にはただ不思議だった。
「え?本気で忘れてるの?!ーー私だよ。私……中村朱里(なかむらあかり)。昔近所に住んでた……」
「中村朱里……ナカムラアカリ……」
僕はそう呟きながら記憶を辿る。しかし、全くと言って良いほど、記憶がない……。
まるで思い出せない。
「そんな子、いたっけ?!」
「いたよ。小学校3年生の夏に、私が引っ越したんだよ?!覚えてない?!あんなに仲良かったのに……」
「あぁ、いたいた。久しぶりだねぇ……」
少しだけ雑談をして、僕は頭の中にハテナが浮かんでいるが、とりあえずその場は、朱里との話を合わせて別れた。
ーーホントに誰だったんだろ?
ーー人違いしてないかな?
僕の頭の中はそんな疑問符しか出て来なかった。
でも、朱里と言う女の子は、僕の名前を知っていたし、間違えているんじゃないか?なんて聞ける訳がない。
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