第7話 えっ?綺麗になってる。
双子の娘に住民たちを集めてもらい全員が集まったところで俺が告げた。
「一応確認をしたいので集まってもらったのだが、皆の家を元通りにしたいと思うが今のままがいいという者がいたら言ってもらえないか?」
そう言うとあちこちからやじが飛んできた。
(何言ってんだ。そんな事出来る訳ないだろ。わざわざ皆を集めてふざけてるのかよ。)
‹そうだ、そうだ。それに人族なんて信用出来ないぞぉ。›
そう言った声にアリスが切れた。
『うるさい。ワシの旦那様の言う事が信じられんのか?それともワシに喧嘩を売っておるのか?』
その一言で周りの連中が固まり何も言えなくなってしまった。そこで双子の姉のカナデが代表して俺に言ってきた。
《申し訳ありませんが、あなたの言っている意味が皆の者信じられないのです。ここまで壊れている家屋全てを元に戻すという事が出来ると思えないのが普通と思いますが?》
「俺は出来る出来ない以前に元通りにしていいかと聞いているだけだが、回答がなければやる事も出来ないんじゃないか?俺たちは野次を聞きに来た訳じゃない。住んでいる者たちが不自由であれば何とかしてやりたいと思っただけだ。出来ないと決めつけているのなら別に構わない。俺たちは自分が住む家を建てるだけだからな。では、皆済まなかったな。俺の勝手で呼びつけてしまって、解散してもらって構わないぞ。」
「じゃあアリス。俺たちはあの空いている土地に居を構えようか?」
『うむ。ええのではないか?先程のワシがあつらえた家を出そうか?』
「いや、結構だ。俺が用意するからそこで休んでいてくれ。」
そう言って俺は空き地の方へ向かい、頭に浮かんできた言葉を発した。
「ウォラン ウェベリン」
そう言うと空き地が勝手に整地されたので、次にこう唱えた。
「ブゥィル ハウディス」
今度は、整地された土地の上に4階建てのでかい家というか城が建造された。
中へ行くと24個の個室と食堂やキッチン、ホールなどが出来上がっていたが生活に必要なものが何もなかった。なので今度はこう唱える。
「ウィリン レイフォ」
すると各部屋に必要な物が次々と用意されていった。もちろんキッチンに必要なものやホールや食堂に必要な物も・・・
で、アリスにこう告げた。
「アリス、寝室は別にしてあるからな。勝手に俺の部屋に入ってくるんじゃないぞ。」
『うぇっ、なぜじゃ、なぜ一緒ではないのじゃ?』
「俺が身の危険を感じるからだ。悪いが時間をかけてから少しずつ仲良くなっていきたいと思うんでな。許してくれ。」
そう言うとがっかりした様だったが、少しずつといった言葉に納得したのか
『わかったぞよ。少しずつじゃな。なにワシも少し焦っていたかも知れんでな。了解した。』
家を作り上げた俺を見ていた双子の妹のカエデがポツリと言った。
<この方は言った事を真にする事が出来る神の様な方ではないのでしょうか?>
また帰らず俺たちのする事を見ていた住人たちがこぞって言い出した。
〚申し訳ございません。私たちの家を元通りにしてもらえませんか?お願いします。〛
と皆が言い出した。先程文句をつけてきた輩も泣きながら謝って修復依頼をしてきたので、誰も住まいにいないのを確認させてから俺は唱えた。
「ツバーシンギ アッツ」
唱えた途端、ボロボロだった家屋全てが建てた時のようにきれいになった。それを見た途端、皆が叫んだ。神が降臨して我々を助けてくれたと。
と言っても、俺は神でもないし大した人間でもない。生活するにおいて周りも楽しく仲良く暮らしていきたいだけだ。そのためだったら出来る限りの事はしようと思うししたいと考えている。
双子の姉妹は呆気にとられ口をパクパクさせていたが、落ち着くといきなりこう言ってきた。
《<私をお嫁さんにしてください。>》
その言葉に反応したのがアリスだった。
『貴様らワシのタケルに嫁にしてくれとはよく言ったものだな?どちらから地獄へ送ってやろうか?』
とんでもない殺気を放っての一言に対し
《<申し訳ございません。命だけは>》
そう言って土下座をして謝ってきた。
それを見て俺は助け船を出すことにした。
「アリス。二人とも本気ではないだろうからそんなに怒らなくてもいいんじゃないか?元々俺にはそんな気がないんだからな。」
そう言うと
《<本気ですよっ。>》
と答えられ本気でビビった。だけどこれ以上アリスの怒った顔を見るのも嫌なので、アリスに向かいこう言った。
「アリス。俺の嫁を謳うなら小さな事を気にするな。それともお前は俺を繫ぎ止める事が出来ない様な女なのか?他の者が何かを言った位で動揺しないといけないのか?特にこの世界は多妻制なんだろ?お前以上に俺の気を引ける様な奴がいると思うのか?一応俺はお前だからこの世界の留まったのだぞ。俺の期待を裏切る様な事をしないでくれ。それに俺は怒ったお前より笑っているお前の方が好きだぞ。涎を垂らすのは戴けないがな。」
そう言うとアリスは顔を真っ赤にしてプルプルと震えながら答えた。
『タケルぅ。怒っているわけ無いではないかぁ♡そんな好きだなんて言われたら何も出来ないではないかぁ♡それにこんな小娘どもに負ける様なワシではないわ。』
そう言ってデレた。
「そこの二人も適当なことを言わずに相手をもっと知ってからそういう事は言え。」
《<すみませんでした。私が軽率でした。>》
どうにかこうにかそれでやっと落ち着いた。
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