下らない時間

今は朝六時半。いつもよりだいぶ早い時間に学校へ来たため、少し眠い


俺達は学校の教師達に見送られながら学校を出発する


そう、楽しい楽しい1拍2日の修学旅行が始まるのだ!


窓側の本田...じゃなくて、遥はニコニコしながら前の瀬良と先生達に手を振っている


名前呼びに成っているのは石井班の四人で話している時、信二が遥のことを名前で呼んでるのを聞き、「じゃあ私のことも名前で呼べ!班長命令だ!」と言ったことがきっかけとなり、全員名前呼びに...


俺と信二は通路側から顔を出しながらお互いの隣に座ってる二人に聞こえないようにこそこそ会話していた


「なあ信二、今日の瀬良可愛すぎ無いか?

いつもポニテなのにおろしてるしさ!

服も何か大人っぽいし!」


「確かに雰囲気違うよね。いつも快活少女って感じなのに」


今日の瀬良は下は黒のショーパンと黒タイツを履いて、上はオーバーサイズの白シャツをイン。金色の短めのネックレスと、腕を固定する革の部分がピンクの腕時計をしていた


「でもさ、空。可愛いって遥のためにある言葉だと思わないか?改めて見てみろよ」


遥は白の細めのロングスカートに、少し黒よりなウール生地のグレーTシャツ


今は脱いでるが、茶色のハイネックの上着も持っている


本人曰く、バスの中が暑いのと、首が少しチクチクしているから脱いどきたいらしい


髪はリボンで普段は下ろしてる前髪をあげている


「じゃあ、遥は可愛いで、瀬良は綺麗ってことにしよう」


実際そうなのだ。遥は少したれ目で真っ黒の目に、小学生らしい童顔


瀬良は若干つり目で茶色い大きい目している。

鼻が高く、全体的に大人っぽい顔


「それはそうかもな。」


「何話してんのー?」


男二人で内緒話しをしていたら、瀬良が話しかけてきた


こういうときのごまかしは信二の方が得意なので、後は頼むと目配せをする


「えっと...瀬良今日アクセサリーしてるけど、それって大丈夫なのかなって」


信二がまだ慣れてなさそうな名前呼びをしながら話題を反らす


「大丈夫だよ。色々あって先生達を論破したから!自己責任ってことになった!」


物騒なことを笑顔で語る瀬良に皆が笑う


「マジかよ、でもアクセサリーのおかげか雰囲気いつもと全然違うね」


信二が何故か一瞬こちらを観てきた。たぶん服を褒めろといいたのかな?


「どう?似合う?」


「す、凄くに...あってる...と思う」


普段全く緊張しない俺だが、こういうのは苦手だ...


「...ありがと」


えぇ...何か駄目だったかな?


「え、めっちゃ照れてるじゃん」


「て、照れてないし!少しびっくりしただけだから!ねぇ!信じてないでしょ!」


信二が瀬良をからかい、賑かに


「遥はアクセしなくて良かったの?」


「そもそも私そういうのもって無いんだよね」


「似合いそうだけどなあ」


信二が呟くと遥がじーと信二の方をみる


「私、誕生日12月7日何だー!」


「ちょうど1ヶ月後だね」


「楽しみにしてるね!」


アクセサリーっていくらぐらいするんだろうなあ...空、御愁傷様


「遥、私服可愛いね」


「それ中高生みたいに普段は私服じゃない人達がプライベートで会った時とかにする褒め方じゃない?」


無骨な話題変更に食い付く


「まあそうだけど、いつもとなんか違うからさ」


「女の子がおめかししてるんだから、ちゃんと褒めて欲しいな?」


そう言うと、脱いでいた上着を羽織った


「なんかロングスカートって珍しいよね。

パンツとか、膝丈のスカートを履いてるのは良くみるけど」


「そうなんだよね、なんとなく履いて無かった」


「良いじゃん、大人っぽいし」


何でこいつこんなにすらすら褒められるんだ?あんまり恋愛経験無かったと思うんだけど


「なんか思ってたのと違うなあ。空くんみたいにおどおどしながら可愛く褒めて欲しかったな」


下らない会話をしていたら、バスレクが始まった


内容はしりとりやビンゴ、クイズ等


時々はしゃぎすぎて先生に注意を受けたりもして、ホテルについた


ここからはホテルに荷物を置き、自由行動が始まる


期待を胸に宿しながら、バスを降りた

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