初恋はストロベリー味

俺と、友達の日田空と、俺の好きな人の本田遥と、空の好きな人の石井瀬良は一緒の班に成れた

ちなみに班長は石井


先生がバスの座席は同じグループで固まった方が相談しやすいんじゃない?と言ったのでそうなった


俺達の班は、行きは石井と俺が隣で、帰りは俺と本田が隣に決まった


石井班の4名は、親睦を深めるためにスーパーへお菓子を買いに来ている


「せっかく席近いんだし、シェア出来るように違うの買おうよ」


石井がそういって、俺と石井、空と本田でふたてに分かれた


「でさ、遥のどこを好きになったの?」


本田達が離れたところで、いきなり話しかけてくる


「何が"でさ"だよ。急に何なんだ」


「だって、良く遥のこと目で追ってるじゃん。班決めの時も、空とペア組んだ後に、私と遥がいる方観てきてたでしょ?」


くっ...何て鋭いんだ


「言いたくないなら別に良いけどさ、相談してくれたら協力してあげられるのにな~?」


「ごまかせなそうだし、正直に言うよ。俺は本田が好き」


「おー!潔い男子は嫌いじゃ無いぜ?」


「うぜー」


「協力してあげる代わりに教えて欲しいことが有るんだけど」


ぶっちゃけ察しは付いてる


「その...えっと...そ、空って好きな人居るの?」


「好きなの?空のこと」


こいつは空が一緒の班に成ろうって言いに行ったら、とてつもなく幸せそうな顔をしていたので、そういうことなのかなって察しは付いていた


「ち、違うよ!えっと...と、友達で空のことが好きな...人が...居て」


解りやすすぎるだろ...


「瀬良っていう友達ね」


「そうそう!瀬良っていう友達が!」


俺が笑っていると、石井も気付いたようで、有るの?"あ"と声を出していた


「名前で呼んでくれた」


「いやそっちかよ」


「うん、遥のことも名前で呼んであげたら?」


「またしても急だね」


ていうか、いじりの一環で名前呼びしただけなのに


「遥言ってたよ?"何で男子って皆女子のこと名字で呼ぶんだろうね"って」


「...話戻すけど、結局空のこと好きなの?」


「...うん」


「潔い女子は嫌いじゃ無いぜ?」


「うぜー」


先ほどやったやり取りを終え、だいたい買い物も終わったので、レジへ向かう


じゃんけんで負けて、レジ袋に詰める作業を請け負ったら、石井はトイレに行ってしまった


それが終わる頃に本田達が戻って来て、空もトイレに行った


「こんなに食べれるかなあ」


「四人分だし、部屋でも食べれば何とかなるっしょ」


本田が手際よくレジ袋にお菓子を詰めていく


「本田は好きなお菓子とか有るの?」


そう言うと、何故かうつ向いて答えてくれない


「...え」


「ん?」


「名前!」


名前?


「私はさ、信二のこと名前で呼んでるじゃん?」


「そうだね、石井もそうだしあんまり気にして無かったけど」


嘘だ。実はめちゃくちゃ嬉しい


「でも、信二は私のこと名字呼びでしょ?」


「そうだね」


「何か距離感じるし、名前で呼んで欲しいなって」


恐る恐るといった感じで、上目遣いでこちらをみてくる


ヤバイ、すげえ可愛い


「もう良いよ、土佐君は私のこと名前で呼びたく無いんでしょ?」


可愛すぎてリアクションが遅れてしまい、腕を組み、横を向いて拗ねてしまった


でも、拗ねてる本田も可愛かった


「あ、いやそういう訳じゃないんだけど

何というか、遠慮しちゃっただけなんだよ」


「そうなの?」


「うん。だから、いつも通り名前で呼んで欲しいなって...」


自分の首に手を回しながらそう言うと、こちらを見てくれた


「じゃあ、名前で呼んでみて?」


「...遥」


横を通る小さい子の足跡よりも小さいような声で呟く


「声が小さいからもう一回言ってみて?」


「遥」


まだ決して大きいとは言えない声で言った


「良くできました、許してあげる」


クスクス笑いながらまた名前を呼んでくれた


やっぱりこの笑顔が好きだなあ


何だかくすぐったさを感じていると、お菓子を入れた袋から、ストロベリー味のチョコが落ちてきた

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