これは恋で合っていますか?
私、本田遥は土佐信二のことをどう思っているのだろうか
バスの中で私服褒めてくれたのは嬉しかった。これは恋?
名前を恥ずかしそうに呼んでくれたとき、可愛いなって思った。これは恋?
一緒の班になれたとき、何故かホッとした。これは恋?
その後、不意に一緒の班に成りたかったと言われてなんか照れた。これは恋?
私が体調崩してるときに嫌な顔ひとつせず劇の台本を書いてくれて、凄く優しい人だなって思った。これは恋?
わからない...もうわからない!
私はちゃんと誰かを好きになったことは今まであったかな?
何となくカッコいいとか、何となく良い人だなと思うことは有っても、好きになったことはないかもしれない
恋というのがどういう感情なのかなんてわからない
今の信二に対する私の気持ちは、いったい何という名前で呼べば良いんだろう
どうやって正解を探せば良いんだろう
「どうしたの?遥。準備終わったなら、早く行こ!」
ホテルの部屋に荷物を置いて必要な物を持ったら、ロビーに行き、班のメンバーが全員揃ったら、自由行動へという流れ
私は自由行動の際に必要な物とそうでないものを分けていたので、準備はとっくに終わってる
「うーん。恋ってどんな感じなのかなって」
「私は嬉しいよ、遥にもそういう人が出来て」
腕を組み、うんうんと言っている
「好きな人が出来た訳では無くて、好きを具体的に説明するならどんな表現になるのかなって」
「そんなに深く考えることじゃないよ...」
目の前の恋する乙女は私の欲しい答えを持っていないらしい
「信二達のこと待たせるのも悪いし、とりあえず行こうか。夜詳しく教えてね!」
なんかもうすでに照れている
ロビーに着くと、男子二人が担任の先生と笑いながら雑談していた
そこへ行くと、先生が「四人揃ったね。気を付けていってらっしゃい」と言いながら手を振ってくれた
「まずは近いし、源氏山公園行って、名前忘れたけど近くの神社行って、銭洗い弁財天行くんだよね」
「近くの神社は佐助稲荷神社ね。そのあとに少し遅いけど昼御飯」
信二が一時くらいかなあと付け足す
源氏山公園はホテルからでてわりとすぐに着いた
「枯れ初めてるね」
枯れかけの木や若干赤い紅葉が残ってる木など色々あった。これはこれで有りかもね
2~30分ぐらい回って、コロッケ等を食べ歩きしながら佐助稲荷に向かった
「おぉ~名前かっけえぐらいにしか思ってなかったけど、凄いな」
空がどうしても行きたいとか行ってたからルートに組み込んだのに、そんな理由だったの...
「そんなことだろうとは思ったけど、お前しょうもないな」
売店みたいなとこでメロンパンとお土産を買い、ベンチに座って食べながら休憩していた
何個も鳥居が並んでいて、景色も良かったから結構長居してしまった
「ご飯はやっぱり適当に食べ歩きすれば良いか」
「そうだな、時間もまけるし」
4時にホテルへ帰らなくてはならず、今は12時40分
「これからの予定を復習しとくと、銭洗い弁財天行って、そこから徒歩とバスで30分ぐらいで鶴岡八幡宮に着く」
「弁財天は近いし、鶴岡八幡宮に着くのはだいたい二時前くらいかな?」
私達は銭洗い弁財天で小銭を洗ってすぐに出た
「ちなみに洗った小銭はすぐ使った方が金運上がるんだって、理論は忘れたけど」
「お前いつも忘れてんな」
瀬良がどこで仕入れたのかわからなうんちくを披露していた
バス停まで行いて、もうすでに少し並んでいる
運良くすぐにバスが来て、じゃんけんで勝った瀬良と空が椅子に座った
私と信二はちょっと離れてるけど、バスの入り口のところで立っていた
「結構歩いたし、座りたかったね」
「それな、明日筋肉痛かも」
しばらく雑談していたらバスが急停車し、私は壁に背中をぶつけ、信二もバランスを崩して私の顔の横の壁に腕を着いた
...これって壁ドンというやつでは?
「...ごめん」
「だ、大丈夫」
ねぇ誰か教えて、キスしそうなぐらいお互いの顔が近付いて、心臓が口からでそうなぐらいドキドキしてしまう。これは恋?
「背中ぶつけてたけど大丈夫?」
「...うん」
こんな時にまで、私を心配してくれる彼の優しさにキュンとしてしまうのは、恋ですか!?
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