星の子~季節外れの7日~

AUGA(オーガ)

第1話 

この光景は忘れられないだろう

そして

これからも語り続けていこう


自分たちの愛したわが子が世界を包んだあの日

の話


~出会いと願い~


ある日のこと

どこにでもいる夫婦がいた

2人には子供はいない


悲しい事情をもっているわけではない


そんな2人は久しぶりに2人で出かける

機会が出来た

向かった先は

静かな森


2人は仲良くキャンプの準備に取り掛かる


水を一緒にくみに行こうとした

2人は


森のなかに人工的ではありえない神々しい光を

目にする


向かう先にあったのは

笹の葉で作られたゆりかごに

ゆられる

ひとりの子供だった


泣くこともなく

ただ安らかに

だれかを待つかのように

静かに目を閉じていた


その子を手に取った瞬間

目をゆっくり開け

ほほえましく笑ったのだ


そんな笑顔に愛しさを感じた2人は

自分たちのこどもとして育てることにした


その時の空は澄んでいた

なにか特別なものを感じた2人は

その子に

望陽(みづひ) と命名した


その子の不思議なところは

性別がなく


無性だった

しかし美しい子でありながらどこか

凛々しさもある

子どもだった


共にかえって来た3人


そこから数年共に過ごし

美しく育った

望陽


とある夏のこと


空を見つめ、涙を流す

それを見かけた2人は寄り添う


「私は2人を愛してる」


でも

私はこの世界で生まれたわけではないのです。」


そう口にし


すべてを教えてくれた望陽


望陽は宇宙遥かの銀河から

地球へ”愛”の記憶を知るためにやってきた


遥か遠くにいる創造主の魂


であった


「これ以上私はあなたたちを愛してしまえば

辛くなる。だから、、、」


そう言って

自分たちの出会った森に行く3人


最後に抱きしめあい

涙が落ちる


静かな夜の中

ゆっくりと天に上っていく

ふっとたちどまり


手を広げた望陽の後ろに

大きな星の川のような

そびえたつツリーのような


遥か遠くにつながる

星の光が集まりその上を流れるように去っていく


その光は去っていく望陽の”記憶”を表すように

2人の胸に繋がれていた


7月7日


毎年この日になると

あの子と自分たちをつないだ光が見える


それは切ないのではない


ずっとつながっている


少ない年月を共に過ごした

自分たちの子供との

愛の絆なんだと。




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