第11話 チャーハン

「聖〜〜、起きてる???具合はどう?」


ベッドで横になって休んでいる聖に陽は声をかけた。


「ありがとう、だいぶ良くなったよ。もう大丈夫」


陽はホッと胸を撫で下ろした。


「良かった。お腹は空いてない?」


「実は…ペコペコ」


聖はペロリと舌を出した。


「食欲があるのはいいことだよ。チャーハン作ったぞ。ネギ抜きの」


「わーい!ありがとう!!」


「んじゃオレ、向こうで待ってるから」


陽はキッチンなら戻ると改めてチャーハンに火を通した。そうこうしているうちに、聖がやってきた。


「おお〜〜、なんと香ばしいかほり…」


聖はウサギのように鼻をひくひくさせた。


「今、運ぶから…座って座って」


陽はチャーハンをテーブルに運んだ。


「今、お湯沸かしてるけど、聖もカップ麺食べる?」


「んーー、私はいらない」


2人はテーブルを挟んで食事を始めた。


「いただきまーす!!」


パクっ


「おいしーっ、ヨウの作ったチャーハン、おいしーっ!!キング飯店に匹敵するわっ!!」


「おいおい、そんなこと言ったらキングのマスターに悪いじゃん」


「でも、おいしいんだもん」


「そりゃ良かった」


陽は照れながら言った。


「ヨウ、あのさ…」


「ん?なに?」


「あのさ、今日はごめんね。わたし、体調悪くなっちゃって…」


「いいよ、そんなことで謝らなくて。仕方のないことだし」


「ありがとう」


少し間を置いて、今度は陽が口を開いた。


「聖、食事中になんだけどさ…」


「なに?」


「聖さ、その…


うちのトイレットペーパー…エンボス加工からシングルに交換した?」


(あ、言っちゃったよ。黙っておいたほうが良かったかな…)


陽の鼓動は少し早くなっていた。

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