第8話 デート

陽は湯船から上がると、スマホにおさめられた自分の姿を確認した。


「うん、なかなかよく撮れてる。聖、ありがと」


「わたし、洗濯物干しちゃうから」


聖はそういうと忙しそうに動き出した。陽はソファに座り、うっとりとスマホを眺めていた。



「ヨウ、コーヒー飲む?」


「・・・・・」


「ねぇ!コーヒー飲む?」


「ん!ああ、コーヒー?ありがと、飲む飲む」


「スマホ見てニヤニヤして…なんか気持ち悪いよ〜〜」


「べ、別にニヤニヤなんかしてないよっ」


聖は2つのコーヒーカップを持ち、ソファーに座った。


「なぁ、聖。天気いいし、久しぶりに買い物でも行かない?」


聖の顔がパッと明るくなった。


「いいね、お休み合うの久しぶりだもんね。


まだ10時過ぎだし、たまにはお昼も外で食べたいね」


「うん、そうだね」


「よし、コーヒー飲み終わったら準備しよう!」


聖はとても嬉しそうだった。



「ヨウ、お待たせ〜〜」


「よし、行くか?」


「え?ヨウ…それもっていくの?」


陽はシンプルなファストファッションに身を包み、背中にはカモフラ柄のリュック、そして右手にトイレットペーパー1袋(12ロール入り、エンボス加工)を持っていた。


「ああ、そうだよ。聖はダブルタイプでいいか?あ、エンボス加工が良ければ譲るけど?」


「え?わたしはいらないよ???


な、なんで新品未開封のトイレットペーパーなんか持っていくの?邪魔じゃん」


陽は聖の問いには答えずに言った。


「んじゃオレがエンボス加工持たせてもらうわ。よし、行くか」

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