第78話
「乾杯!」
「飲むぞおおお!!」
「…うまうま」
3体のお助けモンスターが大量の食料を前にパーティーを始める。お助けモンスターの食事は生命活動の維持というよりも魔力の補給という意味合いのほうが強い。故に彼女達をフルパワーで活動させるには人間以上に食料が必要なのだ。
「あ、これ美味しい…」
大助からお助けモンスター全員にプレゼントされたストロベリーソーダーと新作のチョコケーキ。それをラビがパクパクと食べ始める。
「う…」
ラビの手が突然ピタリと止まる。フォークの先には精巧に作られた二匹の雪ウサギチョコレートがちょこんと残されていた。
(チョコレートで作られたウサギさん。とっても細かく作られてる。ちょっと食べるのが怖くなるくらいに)
悩むラビを尻目にクロとクラリアはノータイムかつパクッ!とウサギのチョコレートを口に入れていた。
「んお!?なんだこのウサギチョコ!?めっちゃ美味いぞ!」
「…ん。かなりデリシャス」
「「…ジー」」
「げっ…!?」
野獣のような目をした二体の視線がラビの手元の皿をジッと凝視していた。獲物を狙うハンター達がジリジリとラビへとにじり寄っていく。
「ラビ~残すのは良くないなぁ~?だが安心してくれ。そのスペシャルチョコは私が責任を持って食べてやろう…」
「…よこせ」
(こ、こいつら本気で私のチョコを狙ってる!?)
「えいっ…!」
「ああっ!?私のスペシャルチョコが!?」
「…むぅ」
二人に横取りされるぐらいならという気持ちと共にラビが慌ててチョコを食べ始める。
(うわ~…めちゃ美味しいです。けど何なんでしょうか。このちょっぴりと残る罪悪感は)
「うう…今、私は命の尊さを実感しています…ありがとうウサギさん……」
情緒不安定なラビをヤバい生物を見るような目でクロとクラリアは眺めていた。
「クラリア。あいつはいったい何を言ってるんだ…?」
「…魔法の使い過ぎで脳がバグッたのかもしれない」
「ああ…確かに負荷のかかる魔法を使い過ぎると脳がダメになるっていう話もあるな……」
「…エリクシールを飲ませた方が良い」
クロとクラリアがコクリと頷いた後、二人がアイテムボックス前へと移動を始めた。
「ちょ、ちょちょちょっと…!?」
ガサゴソとアイテムボックスを漁り始めた二人を真っ青な顔で止めに入るラビ。
「私の脳みそは正常です!!そんなアホな事に貴重なエリクシールを使おうとしないでくださいよ!?」
「ぐえっ!?」
「…おふ」
クロとクラリアの頭部をアイアンクローで掴み、二人を椅子へと運んでいくラビ。
(非常用だから好きに使っていいとマスターは言ってましたが、こんなアホみたいな事で使ったら怒られちゃいますよ……)
そうして二人を着席させたとほぼ同時に、彼女達の端末にメッセージが届いた。
「っ!?まま、マスターからです!!」
「一斉送信か?珍しいな」
「…とりあえず見て見る」
「「「…ええっ!?」」」
大助から送られた文面に卒倒しそうになるお助けモンスター達。それも当然。そこにはこんな文章が書かれていたからだ。
<ちょっとランダムダンジョンに行ってくる☆>
「……きゅうぅ…」
「んおっ!?ラビ大丈夫か!?」
床に倒れそうになっていたラビを慌ててクロが支える。
「ありがとうクロ…とんでもない事になりましたね……」
「ああ…どうする?」
「…答えは1つしかない」
「ええ。マスターを助太刀しに行きます!!」
3体のお助けモンスターが即座に戦闘モードへと切り替え、突撃の準備を始める。
(待っててくださいマスター!必ず私たちがあなたの力になります!!)
「___目的地は「スイーツ・ダンジョン」」
「___邪魔するものは……皆殺しです」
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