第44話
「も、もしもし!マスターですか!?」
(本当に通話できちまったよ……)
「こちら金本大助だ。状況を説明しろ」
「えっ!?ええっと、こちらは装備を整えて壁外に向かう最中です!」
「了解だ。何か問題があればそちらも電話を使用してくれ」
「分かりました!……てもう切っちゃうんですか!?あの!その!もう少しマスターとお話したいんですが!」
(…ふむ。どう返答したもんかな)
「スマンが今、俺は本気で忙しいんだ。今度映画でも見ながらゆっくりと話をしてやるよ」
「えええ映画!?そっ、それはつまりデー……」
「そんじゃ切るぞ~」
大助が問答無用で通話を終了した。
「あ、そういえば魔法について聞くの忘れてたな。…まあいいか今度聞けば」
(とりあえず今後の目標は定まったな。転移草の検証と魔法の練習ってところか。いいね。面白くなってきた)
退屈していた大助の心に再び火が灯る。こうなるととことんまでやるのが金本大助という男だ。
「何はともあれ実物がなきゃ何もできねえしな。そんじゃまあ栽培しますか!」
大助の過酷な栽培作業が幕を開けた。
「マスター!今、お時間よろしいですか?」
「…え?まあ大丈夫といえば大丈夫だが……」
翌日、のんびりとコンビニの200円弁当を食べていた大助の手がフリーズする。ラビが突然目の前に現れたからだ。
「壁の向こう側の調査が完了したので報告に来ました!」
ラビが素早く大助の隣に座り込む。ほぼゼロ距離でピッタリとだ。流石の大助もこの行動には少しだけ驚く。
(なんか距離感近くない?)
「…?マスター、どうかしましたか?」
「いや、気にするな。…それで?壁の向こう側はどんな感じだったんだ?」
(構って欲しいのか?うさぎは寂しいと死ぬとかなんとか。…でもあれって確か迷信だったよな?科学的な根拠もないとかで)
「はい!それがもう凄いんですよ!特にクロが見つけた温泉施設なんてもう……」
ラビの調査報告を聞くことで自然と大助のテンションも上がっていく。
(いいないいなぁ~!俺もそんなクソ面白い世界に行ってみてえよ!!なんだよ魔力温泉ってよぉ!?面白過ぎるだろうが!!)
(……けど無理なんだよなぁ。お助けモンスターはこっちの世界に来れるけど、俺は向こうの世界には行けねえんだよ)
お助けモンスターは両方の世界を行き来できるが、大助は放置モードの世界に直接介入する事はできない。これは基本的なアプリのルールの1つだ。
「他にも無限池なんていう場所も見つかりました!今クロが歓喜しながら魚を乱獲してます」
「…まさかあのお馬鹿ドラゴン、池の魚を全て確保する気か?」
「えっと、クロの話だと池の中身は24時間でリセットされるから問題ないらしいです……あの子が魚食べたさに適当な事を言っている可能性もありますけど」
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