第25話
翌日、さらに翌日とガチャを回し続ける大助。彼の所持しているコインはもはや破産寸前、ギリギリの状況だ。
「1度でいいからSSRを見てみたい!」
たった一瞬の快楽の為にその全てを溶かし続ける大助。彼は今、破滅という名の幸福に身を委ねていた。
「これが最後だおらああああああああああああああああああああ!!」
そして大助のラストコインが投入された。これで彼の所持コインは3万以下。これがラストチャンスだ。その執念がどこぞの女神にでも届いたのか。彼のガチャ画面が虹色に輝き出す。そしてついに金色のカプセルが排出された。
「きたああああああああああああああ!!」
大助が血走った瞳でその中身を確認した。
・ブラックドラゴン
世界を滅ぼす力を秘めた黒龍。その圧倒的な力とプライドから育成は非常に難しい。マスターとしての技量が強く問われるモンスター。
「やっと来たぜええええええええええええ!!」
大助がろくに説明も読まずに異常なテンションでブラックドラゴンをタッチしてしまう。そして不幸は重なり大助のタップミスで「収納」から「呼び出し」ボタンを押してしまった。
「…あ、やべ……」
(えっ!?というか呼び出しって何!?)
ポンッという音と共に、大助の目の前に黒い和服を着た少女が現れた。赤く鋭い瞳、奇妙に捻じれた2つの角、濡羽色の長髪、腰元からは長い尻尾がユラユラと揺れている。
「…ふん。人間如きがこの私を使役するつもりか?」
「ほう…?」
大助がその少女の瞳をゆっくりと見る。目は口ほどにものを言う。少女の目は反逆する気100%の危険な目をしていた。
「まあいい。試してやる。少しは私を楽しませてみせろ」
「っ…!?」
___音速を超えて少女が大助へと襲い掛かる。
___物理法則を無視したその攻撃。それが繰り出されるよりも早く大助は動いていた。
「なにっ!?…ぎゃうっ!?」
(見てから動いてたら死んでたな。まったくふざけやがって…)
大助がカウンターの右フックを視覚外から少女の左頬にめり込ませる。彼が持ち得るありったけの魔力と体重を乗せてだ。
常日頃から微力の魔力が含まれた魔草を食べ続けた結果、大助の体には膨大な量の魔力が貯蓄されていた。繰り返し鍛え続けた鋼の肉体と技に「魔力」というニトロエンジンが搭載される。今の大助の全力の攻撃は、例え竜であっても無視できないレベルへと変貌していた。
「ぐうう…!!予想外の展開だが仕方がない!喰らえ…!!」
少女がブレスを吐こうとする。そう、この狭い大助の室内でだ。
「おお…おいおいおい…!?」
「___‘ブラック…‘」
「阿呆かお前は…!!」
繰り出した腕をそのまま引かず、コンパクトに折りたたんだ肘打ちで少女の首元を打ち抜き、無理やり頭を窓の方向へと向けさせる。そして黒い閃光が放たれた。
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