第23話
「うげ…日本の税金って高過ぎじゃねえか?」
翌日、ネットで各種税金に関する情報を調べていた大助が頭を抱える。日本の税金制度は基本的に累進課税だ。大金を稼げば稼ぐほど収める税金も増えていく。
「なるほど。節税のためにも開業した方がいいのか」
雑所得ではなく事業所得という事にすれば様々な控除を受けられる。大助はその点に注目していた。
「…よし。開業するか」
(青色申告は確か複式簿記で提出する必要があるんだよな。簡易簿記だとちょっとだけしか控除されねえし。まあその辺は何か有料の会計ソフトを購入すればいいか)
法人。つまり会社を作るという手もあるが、大助はそれは選ばなかった。理由はただ1つ。管理が最高に面倒だからだ。個人事業に関しては知識さえあれば全て個人で管理する事も容易だが、法人会社となるとそうはいかない。そこには必ず複雑な人間関係というものが発生してしまう。そんな事は例え3億円を目の前に積まれても絶対にお断りなのが大助だ。
翌日、昼間から大助がのんびりとソファーで寛ぐ。労働から解放された者だけが味わえる極上の愉悦感を彼は堪能していた。
「…んむ、金に余裕があっても使い道がないんだよな……」
むしゃむしゃと今日の昼飯であるたんぽぽと解毒草のバター醤油炒めを食べながら、大助はそんな事を考えていた。食事は基本的にバランス良く取るのが一番だ。高額な物を食べれば正解というわけではない。主食、主菜、副菜をしっかりと摂取すること。その繰り返しが強靭な筋肉を形成するのだ。
「……そうだな。最近忙しくてやれてなかった魔法系の草の検証とかするか」
当たり前の話ではあるが、ドラゴン草や火炎草などの危険な草を自宅やその周辺でテストする事は不可能だ。
(まあ海か山で検証するのがベストだな)
「そういえば追加されたガチャの機能とかもまだ試してないんだよな」
(どうする?ガチャに関しては今からやってみるのもアリだが)
「よし。暇で暇で仕方がねえしやってみますか」
大助が早速アプリを起動する。メニュー画面から「ガチャモード」を開いた。そしてその瞬間、強制的にチュートリアルが再生される。
「…人間…悪いことは言わない…引き返した方がいい…ここから先には地獄しか待ってない…」
「ちょっとちょっと!?何余計な事を言ってんのよ!?そんなこと言って売り上げが落ちたらまた私が説教されるでしょうが!?」
「…でもこれは酷い…SSRの確率が0.1%とか…」
「あ~!!あ~!!ほらもう帰った帰った!!あんたも別件で忙しいでしょ!?今度地球産の美味しいお酒奢るからそのユルユルの口を閉じなさい!」
「…分かった」
ドアを無理やり閉じる音が室内に響き、ようやくガチャの解説が始まる。
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