第21話
大助が宝くじ売り場に到着した。服の内側には未来草とポーションが仕込まれている。大助は前日に未来草についての簡易的な実験を行っていた。未来草を食べると30秒後の未来が体感3秒だけ見える。その後に情報の過負荷で脳の異常が始まるのだ。その対策として脳が欠損した瞬間に経口摂取でポーションを使用し脳を瞬間的に修復する。これが大助が生み出した悪魔のシステムだ。
宝くじ売り場でスクラッチを購入し、コインで削るその前に未来草を使用する。30秒後の大助は見事に惨敗していた。
「あっ!?…そうか。最初からハズレ券とかだと意味ないんだこれ」
(購入する数を増やすか?…いやダメだな。情報の取捨選択が追い付かなくなる)
「宝クジ関連はちょっとダメそうだな…」
30秒という制約は中々に厄介だ。大助は一旦自宅に戻り作戦を練る事にした。
「競馬とか競輪もダメだ。直ぐに結果が欲しい」
公営競技は時間が掛かり過ぎる。競技が始まってから結果が分かっても意味がないのだ。必然的にいわゆる健全なギャンブルは選択肢から外れていく。
「短時間で稼ぐならネット関係しかないな」
大助は昨日の内にネットの証券口座に200万を送金していた。荒稼ぎをする準備は既に完了している。
「そういやもうこんな時間か」
時計の針は午後1時を指している。大助は勝負よりも先に昼飯を済ます事にした。冷凍庫に保存していた解毒草入りミートソースパスタを取り出し電子レンジで解凍する。
「んん。このシャキシャキした触感と絶妙な苦さがたまらん」
健康的な食事を終わらせ、大助が速攻で皿を洗い始める。
(パスタソースは乾く前に洗えば簡単に汚れが落ちる。1人暮らしの人間にとっては必須の知識だぜ?)
片付けが終わり、大助が本格的に大金を稼ぐための準備を始めた。モニターの画面には海外の証券取引画面が表示されている。
「やりますか。FXをよおおおおおおお!!」
FX。外国為替証拠金取引。かつて破滅の代名詞とも呼ばれた究極のギャンブル。大助はこれに目を付けた。FXにはレバレッジと呼ばれる掛け金を大きく超えて貼る事ができるシステムがある。大助の少ない資産でも大勝する事は可能だ。
「生きるか死ぬかのデスゲーム。本来ならFXに大金を掛けるのは正気の沙汰じゃない。しかし今の俺には、コレがある」
大助が倉庫から未来草を取り出す。
「FXにはスキャルピングっていう手法があんのよ」
2つ目の問題点、30秒の問題も超短時間取引なら無視する事ができる。勝つ未来が見えれば続行し、負ける未来が見えれば取引をしなければいいのだ。これこそが大助が考えた必勝法だ。
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