第20話
・未来草
食べると少しだけ先の未来を見る事ができる草。使用者の脳に莫大な負荷が掛かるので別名「廃人草」とも呼ばれている。※…これを使うと常人には耐えられないレベルのノイズが待っている。…人間にはオススメしない。
「お?…おお……うおおおおおおおおおおあああああああああ!!」
(きたぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ)
大助が半狂乱で部屋の中を走り回る。このときばかりはご近所さんへの配慮を忘れてだ。だがそれも仕方がない。この手の一発逆転の可能性を秘めたアイテムをこれまでずっと大助は待ち望んでいたのだから。
(きたぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!)
「ふうううう!ふうううう!ふうううう!」
興奮が収まらず大助がその場で腹筋を始める。あまりにも異常過ぎる光景だ。
「人生逆転勝利確定だぜ……」
「未来」に関するアイテムの凄さに関しては現代人ならば知らない事はないだろう。映画、漫画、ゲームなどでも度々取り上げられるテーマの1つだ。未来を制す者は現実を制す。ただしそれは未来を知る行為に「デメリット」が無い場合の話ではあるが。
「…目指しちゃいますか。億万長者!!」
未来草に関するデメリットを無視して大助の脳内皮算用が始まる。彼の中ではもうこの草を使用する事は確定していた。死のリスクですら今の大助にとっては最高のスパイス。早い話、大助の脳はとっくにイカレていたのだ。
大助が早速畑に未来草をセットし、増産を始めた。
「ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「やっべえぇよおぉぉおい!? ワクワクが収まらねえ!!」
部屋の中をクルクルと踊りながら画面をタップする。ただただ、ひたすら画面タップする。
「フハハハハハハハハハハハ!!」
(近所の人。…名前はなんだったか?……忘れた。まあどうでもいいか。とにかく今この瞬間の騒音だけは許して欲しい。なんせ人生が劇的に変わるかもしれないからなぁ!?ワクワクして仕方がねえんだよおおお!!)
「ひゃああああああああ!栽培完了!!」
あれから丸一日、大助は未来草を作り続けた。その数13本。その全てを倉庫に移す。
(こんだけあれば十分だろ)
「ふへへへへ…なんか予感がするぜ。人生が激的に変わるという確信的なやつをよぉ…!!」
ドカッと、テーブルに上に現金300万を置く。これが今の大助が持つ全財産だ。
「さあ行くぜ!まずは宝くじだ!!」
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