第9話
(正直余り過ぎて困ってたんだよな…)
雑草サラダ。雑草ジュース。雑草サンドイッチ。大助は様々な雑草料理を試していた。全ては食費を浮かせるためだ。
「…なるほど。この世界の雑草も異世界の雑草もレートは1つ1コインか」
1本1円相当。労力に見合うかどうかは微妙なラインだ。だが今の大助にはこのレートが高いのか低いのかを判断することはできない。圧倒的な情報不足というやつだ。
(とりあえず不要な分は売っておくか)
不要な雑草を全て売却。合計で1000コインを大助は獲得した。
(コインのレートは1コイン日本円で1円。まあ悪くはない金額か)
ショップのメイン画面へと戻り、購入メニューを開く。ズラッと購入可能な商品が画面に表示された。
「ん~…」
商品画面は雑貨道具のような物が大半を占めていた。パンやチーズなどの日本食も販売されていたが割高な設定になっていた。身近にスーパーの店舗がある大助からすれば購入するメリットはほとんどない。
(あ~あのウサギちゃんへの差し入れとしてはアリか)
「まあそれは追々考えるとして、おお?これなんか面白そうだな」
大助の面白センサーが反応する。そこには低級ポーションという商品が表示されていた。
「ポーション。 いいね~実にファンタジーな感じだ」
・低級ポーション
価格1000コイン。
最低品質のポーション。軽度の傷を回復させる事ができる。
「ゲームの回復薬そのまんまだな。…ん~どうしようかな」
(他に欲しい物なんてないしな。…買っちゃうか?いや、買うしかねえよなぁ!?)
1000コインを消費して、大助は低級ポーションを購入した。次の瞬間、スマホの画面から丸い瓶がポンッ!という音と共に飛び出してきた。
「うおおお!?」
落下する寸前ギリギリでなんとかキャッチに成功する。
(危ねえ…この飛び出す演出は見栄えはいいが実用性0だぞ)
「ふむ。これがポーションか」
瓶の中には緑色の液体が入っていた。心なしかかなり濁ったように見える。
「なるほど、低級だから品質は良くなさそうだな」
ポーション瓶をクルクルと回しながら色々と確認してみる。見た目はワイン瓶を小さくしたような形だ。ビンの先端部分にコルクが刺さっている。
「…ん~」
(これどうやって使うんだ?)
大助は2つのパターンがあると考えた。1つ目は中身の液体をぶっかけて使う方法。2つ目は直接飲む方法だ。現状、ポーションを使うような用事は大助には存在しない。
「まあいいや。とりあえず保存しておいて……というか現実世界にこれ保管してたらヤバくねえか?」
賃貸物件は水道業者や内装業者の出入りなどもわりと頻繁に発生する。そこで秘密が露見する可能性も0ではない。
(というか保存方法なんて知らねえぞ。適当に置いとけばいいのか?)
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