終わった恋の後始末。

終わった恋の後始末。

 彼が置いていったモノを片付ける。

 後で、連絡入れなくちゃ…。

 何で、別れる時に持って帰らなかったんだよ。って、服は持ち帰ったのか…。

「服だけ、かっ」

 別れるきっかけとなったのはもう私を見ても興奮しなくなった、と。

 確かに、こちらも彼を見ても興奮しなくなりましたから、ね…。

 空気のような存在感でもいいか。なんて思ってたんだけど…。

 彼はそうじゃなかったってだけで。

 多分、もう次の相手もいるようで私と一緒にいる時でも頻繁にメッセージのやりとりをしていたような気がする。友達って言ってましたけど。多分、違うんだろうなって思ってたけど、ね。

 だからと言って、キレイになってもう一度彼に振り向いてもらえるように努力をするようなヒトではなかった。私…。

 当然の結果、か…。

 さて、残るは…。

 見たくもなかったコスプレ服に、その他諸々…。

「要らん…」

 紙袋の中に詰め込んでいた。黙々と作業する中、彼との記憶を冷静に思い出す。

 元々、彼とは興奮するトコロが異なる。まぁ、気持ちいいことをする時に気持ちいいのはお互い様なんですけど、そういう事じゃなくて…。

 こんなにコスプレ服が増えたのは、彼は服を着たままが好きで、私は私服だと汚れてしまうのでそのまま帰れないっていう事が原因だったと思う…。

 元々、合わなかったんだ。

 そういうところも。

「よし。後は…」

 でも、何故か涙が出る。どうしたものか。

 長く居過ぎたんだ。きっと…。

「あともう少しだから、止め。止め…」

 上を向いて、涙を抑える。けど、無理…。

 好き。離れたくない…。

 あの時、言えば…。言ったところでもう終わってたんだと思う。彼も。私も。

 今更、何も変わらない現実にグルグル回る感情に。

「面倒…」

 自分が面倒になった。

 少し冷静になれたところで、所有者に返した方がいいかメッセージを送った。

『要らん。売るなり捨てるなり何なりと』

 未使用じゃないから売れないと思いますよ。捨てます。捨てさせていただきます!!

 ゴミ袋の中に突っ込んで、スッキリしたクローゼットに清々しく独り言ちていたら、通話音が。

「………」

 彼から、だった。

 一瞬、出るのやめようかと思ったけど、とりあえず出た。

「はい」

『俺のところにあるコスプレ服はどうするの?』

「捨ててください」

『要らないの?』

「要らねぇ」

『可愛かったのに』

「………」

『………』

「切るよ。私のモノが出て来たら捨ててね」

 バイバイ。と言って終話した。

「はぁ…」

 別れ惜しくなるから、やめてよ。

 また一緒にって思っちゃうから…。

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終わった恋の後始末。 @tamaki_1130_2020

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