悪戯 残り0日

雨雲も無しに降り続ける超常的な降雨は、

一晩中続いた。

この世界の人間達が奇跡だと

騒ぎ立てたこの現象は、

この世界を造った神が引き起こしたものだった。

雨はこの世界の奥に染み渡り、次元を超える。

そうして他の神が造った別次元の世界に、

また雨は降り続いていった。

神はこの雨を通じて、

別次元の人間へ言葉を託した。

それは神の戯れでもあり、

描いてきた物語の最後を飾るためでもある。

この言葉を人間が知るのは、

雨を通じてかもしれないし、

神の描いた物語を読むことによってかもしれない。

折角、時間を掛けて完成させたため、

神としては物語から

知って欲しいところではあった。

1つの言葉で、人間は歪む。

僕が精一杯残せる言葉で、

僕ではない、他の神が造った世界の、

誰かの運命を狂わせられたとしたら、

それ以上に幸せで、愉しいことはない。


「あなたは、あなたらしく、

生きることが出来ているだろうか。

もし、僕が造ったような冷たい世界と

類似した世界であなたが生きているなら、

今まで、沢山の辛い経験をしてきたと思う。

その中で、あなたは自分を認めてあげることが、

出来ているだろうか。

世界は残酷で、非情だ。

人間は、世界を動かす歯車でしかない。

ただ生きることが、酷く苦しい。

それでも、僕はあなたに、

生きていて欲しいと思う。

生きて、世界に望まれているような形ではなく、

あなたが見つけた、

あなただけの幸福を掴み取って欲しい。

あなたは、その世界に生まれてしまったのだ。

世界の下らない掟なんて関係ない。

何をしようと、そこには善も悪もない。

あなたは自由だ。

どうか、幸せに生きられますように」

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