第3話 復讐者
真っ昼間から通り魔は生きる。
通り魔は殺人を好む奴と黙々とやる奴に別れている。
そうじゃなくてただ目的があってやる奴は復讐者でしかない。
そんな世界。
私は、復讐者。
命を好む者よ…
(…来た)
保護対象だ。
連絡が入る。
『うんうん、んじゃ救ってね〜』
たまに救われない事を望む奴が居る。
だから必ずこうやって開始の合図を待たなければいけない。
遅くても早くてもダメだ。早すぎたらそれだけ神経が麻痺して鈍り、遅すぎたら単純に間に合わない。
このオペレーターはそれが無い。
そりゃ好かれる訳だ。誰にでも…私にも…
『奥のマントが目印。対象の横にはガーディアンが二人。頼むよ?』
「任せて」
私は時計台の頂上からスコープを除いてレティクルを弄る。
この世界には存在してはいけないほど強く、それでいて簡単過ぎる兵器。
そんな銃を持っているとたまにこう考える。
このスコープの先の人は一体生きてきた証をどうするのだろうと。
死んだ死体も生きた証にはなる。しかし、死んだ人が決める生きた証はどうなるんだろう?
そんな事を考えながら毎日人差し指に伝わる冷たい死の体温を感じる。
それが一番強い時。その時に撃つ。
直感的にわかる。その人が死ぬのか。
わかってしまうからこそ考える。
生きた証ってなんだろう?
ああ、あれか。
死ぬな。この温度は確かに死ぬ。
鉄の温度じゃない。しっかりと冷たくて温かい、それでいてぬるいとは違う温度。
殺せる。
慎重に運べ。このレティクルを慎重に合わせろ。
ああ、風でフードが………なぁ。
母さん、なんであんたなんだ?
『………どうした』
「…いえ、なんでもありません」
『ご親族か…どうする?自由だぞ?』
自由…
そんな訳無い。
最終的に死とゆう選択肢しか選べない。死の枠内での自由でしかない。
でも…私はスナイパーだ。
私怨で複数人を巻き込むな。
もう次は無い。
撃て。
撃て…
「撃つ」
響いた。寒い時計台の上から発射された鉛玉は午後の鐘と共に自分の母親の頭へと突き刺さり、殺した。
「ミッション成功。RTB」
『ご苦労さん。今日も良いタイミングだ。ナイフを取り出した所でパンッとは良いね。諦めみたいなのを感じた』
「……なら止めてくださいよ」
『いや〜、面白いもんでね。ささ!今回の報酬も渡したからつぎの依頼にしようか!』
「…ええ」
私は好きだ。
配慮をしてくれている事が伝わる。
愛されている。
私は…私は…
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