第十一話~第二十話

第十一話 守るもの 


サキュバスはノアの瞳を見て気が付く、そこに反射し映るはずの自分が映っていない事に…つまりそれは黒ではなく深淵なのだと…

サキュバス「ごめんね…アナタ...」

直後、銃声が響いた…

ノア「何のつもりだ?」

ユキ「やっぱりこの人は良い悪魔だよ!」

ユキは銃弾を剣で受け止めサキュバスの前に立っていた…

ユキ「この人が謝ってる時この人の目には私達じゃない誰かが映ってた!お願い…分かって…」

ノア「…ふっ…ハハハハハ!!」

ノアは盛大に笑ってしまう…

ノア「悪魔祓いが悪魔を人扱いするのか…」

ノア「良いだろう!そこのサキュバスは見逃してやる、だがユキ交換条件だ…」

ユキ「何?」

ノア「そいつからクイーンのいる場所を聞き出せ、それが出来ればそこのサキュバスは助かる」

ユキ「分かったわ…」

ユキは振り返りサキュバスに近づく…

ユキ「お願い、サキュバスクイーンの場所を教えて…」

サキュバス「…悪魔祓い…いや悪魔殺しに教えたら私が殺される…」

ユキ「…私はまだ弱くてきっと今から言う言葉に説得力は無いかもしれないけど…信じて私は貴方を守るわ…」

サキュバス「あの方の強さを知らないから言えるのよ…」

ノア「いや、知ってる」

サキュバス「何故?」

ノア「昔"色々"あったのさ」

サキュバス「ふっ…そういう事…なら良いわ、教えてあげる」

ユキ「何処にいるの?」

サキュバス「クラブクイーン地下に居るわ」


第十二話 killer


ノア「ユキ、お前はコイツと一緒に家に居ろ」

ユキ「ノアはどうするの?」

ノア「何って…仕事(殺し)だ」

サキュバス「待って!まさかアンタサキュバス達が百体近く居るクラブに突撃する気!?」

ノア「あぁ、逃したい奴がいるなら電話しとけ」

サキュバス「自殺行為よ!クラブの中には力を高める結界だってあるのよ!!」

ノア「だから?いつも通りただ仕事をするだけだ…俺は悪魔殺しだ」

ノアはタバコを咥え火をつけるとと煙を吸い込む…

ノア「そして唯の人さ…」

そう言ってノアはクラブに向けて行ってしまう…

ユキ「…」

サキュバス「…彼、死んじゃうわよ?」

ユキ(ノアはいつもあんな事をしているの…?)

霧の中にノアは消えていく…

ノア(クイーンか…懐かしいな…)

ノアはタバコを一本吸い終わるタイミングでクラブに着いていた…

ノア「さて、仕事の時間だ」

ノアは勢いよく扉を開き中に入る…

下に続く階段を降りていくと屈強な男の見た目をしたインキュバスが話しかけてくる…

インキュバス「招待状は?」

ノア「あぁ、勿論」

ノアは懐に手を入れ歪な形のリボルバーを出す…

ノア「これだ」

直後引き金を引き頭を吹き飛ばす…

銃声が響くが奥から響いてくる音楽がそれを掻き消す…

ノアはゆっくりと光が飛び交いサキュバスとインキュバスが交じり踊り揺るがすダンスフロアに入っていった…

ノア(やはりまだユキには早いな…置いてきて良かった…)


第十三話 踊れ 


ノア(全て…捨てなければ…いつもの様に…消し去らなければ…)

ノアが神経を研ぎ澄ませていると一人のサキュバスが話しかけてくる

サキュバス「なにそのカッコ〜ちょーダサい〜」

ノア「そうだな」

直後ノアは引き金を引く…

血が飛び散り周りのサキュバスやインキュバス達が気がつく…

ノア「Shall We Dance?」

直後、体を本来の姿に戻したサキュバスやインキュバスが飛びかかってくる…

ノアは懐から複数の銀の輪が重なり球体になっている物体を取り出す…

ノアが指で一つの輪を弾くとすごい速度で回転し始め、直後銀の輪がノアを包み込む様に巨大化する…

ノア「自動防御レリック、ヘルプリズン」

サキュバスとインキュバスはその球体に触れるとミキサーに刻まれる様に肉片と血になってしまう…

血と肉片が飛び交い絶叫の中大半のサキュバスとインキュバスが死んでいく…

ノア(出だしは上々…問題は…)

直後、目に見えない速度で回転する銀の輪が止められノアの前に赤いドレスを着た美しい女性が立っていた…

ノア「やっと来たか…」

ノアは手を差し出す…

ノア「私と踊っていただけますか?クイーン」

ナギ「貴方に肩書きで呼ばれる日が来るとはね…まぁ良いわ、一曲付き合いましょう…」

ナギと呼ばれるサキュバスクイーンは手を取る

ノア「積もる話もあるだろう?」

ナギ「無いわ、何もね」


第十四話 擬態 


ノアとナギはダンスを踊り始める

ノア「所でいつまで擬態してる気だ?」

ナギ「最初から気が付いていたのね?」

ノア「妊娠したなら教えてくれれば良いのに…」

ナギ「ふふっ…この子は魔神王の子よ…」

ノア「死んだ筈だろ?」

ナギ「正確には粒子から創り出したの…」

ノア「神にでもなる気か?」

ナギ「いえ…それ以上よ…」

直後ダンスフロアを割り触腕が飛び出してくる…

その触腕はノアを捉え腕や足に刺さる…

ナギ「貴方の体には何か分からないけどとても濃い魔力がある…その魔力であの子を起こすわ…

ノア「…辞めた方が…良いぞ…」

ナギ「強がらなくて良いのよ♪」

ノア「違う…お前じゃ無い…やるなら心臓だ…」

直後ダンスフロアに血が滴る…

ナギ「何…コレ…」

サキュバスクイーンの胸には十字架型の剣が刺さっていた…

ノア「何故来た…ユキ…」

ユキ「来た方が良かったでしょ?」

ノア「馬鹿が…逃げろ…」

ユキ「もう倒したわよ」

ノア「俺が逃げろと言ったら…」

直後ダンスフロアが真下から突き上げられる…

地面が激しく揺れユキは膝をついてしまう…

ノア「来たか…」

ユキ「何が来たの!?」

ノア「サキュバスクイーンの本体だ…」

直後地面を突き破り巨大なカマキリの様な生物が出てくる…

ノア「やはり妊娠していたか…」

カマキリの様な生物の腹は膨らみまるで胎動している様だった…

ユキ「これって…」

ノア「まずいな」


第十五話 強者 


ノア「逃げろ!!」

ノアの声が聞こえると同時にユキは入り口へ駆け始める…

しかし残っていたサキュバスやインキュバスに道を塞がれてしまう…

ユキ「やばいかも!!」

ナギ「ワタシカラハ、ニゲラレナイ!!」

ノアはタバコを咥え火をつける…

ノア「あぁ、逃げないさ」

ノア「告げる…精霊の名において貴方の魂を赦す事を…」

直後ノアの構える歪な形をしたリボルバーが光を帯び形を変え始める…

ノア「すまない…さらばだナギ…」

ノアはリボルバーが変形を終えると静かに引き金を引いた…

ナギの瞳から涙が溢れる…

ナギ「ワタシ…マチガッテ…」

直後、ナギの上半身が吹き飛び血が噴水のように飛び出る…

ノア「あぁ…だが心配するな…始末はつける」

ユキ「終わったの…?」

ノア「いや、まだだ…」

サキュバスクイーンの残骸が蠢き始める

ノア(まずい!!)

ノアは自動防御レリックをユキに投げる…

直後ユキの体を覆うように銀の輪が展開される…

刹那ユキは見るサキュバスクイーンの残骸から強力な魔術が行使されダンスフロアが緑色の光で包まれたのが…

ユキ「ノア!!」

ユキが叫んだ瞬間自動防御レリックに緑色の光が触れ銀の輪がガタガタと震え始める…

ノア「全く…アーティファクトから削り出した防御ルーンでも防ぎきれないとは…」

緑色の光が晴れるとノアが頭から流血をして立っていた…


第十六話 主人公では無く


その前には明らかに歪な、そう鹿の頭蓋骨の様な頭が三つ筋骨隆々で肌は白く柱のような腕が4本あり足は上半身に比べて細く頭の上に天使の輪のような物が付いているまさしく悪魔が立っていた…

ノア「お前の名は…?」

ウロボロス「質問が違う…私の名より、私がお前にとって何かを聞くべきだ…」

ノア「…お前は…なんだ…」

ウロボロス「私は死だ…貴様を終わらせる」

ノア「それは無理だ…死ぬのはお前だけだ…」

直後、ノアはリボルバーを向け引き金を引く…

ユキは見る...

少なくとも2回はそのリボルバーが悪魔を殺すところを見た肉を吹き飛ばし魂を浄化する所を…だが…

ウロボロス「痒いな…」

その悪魔には弾がめり込んですらいなかった…

ユキ「嘘…」

ノア「グリフ」

ノアはコートから緑色のルーン石を取り出し唱える

直後、ルーンから強力な風が吹き出しウロボロスを後退させる…

ウロボロス「手品が得意なのか?」

ノア(普通なら肉がズタズタに切れ吹き飛ばされる筈だが…コイツ…上級悪魔なんかと比べ物にならない強さだな…)

ノア「告げる…」

ウロボロス「無駄だ」

ウロボロスは柱のような腕をノアに向け振り下ろす…

ノアはコートから赤いルーン石を取り出し唱える…

ノア「ドラ」

直後ノアの持つルーン石から業火が噴き出す…

ウロボロス「ぬぅ…」

ノア「悪いな…勝てるなら俺はどんな手でも使う…漫画の主人公じゃないもんで」


第十七話 継承 


ウロボロス「馬鹿にしているのか…」

直後ウロボロスの口から緑色のブレスが放たれルーン石からでる火を相殺し始める…

ノア(コイツ!魔神王の力を受け継いでいるのか!!)

ノア「仕方ない…ユキ、よく見ておけ…」

ユキ「むりぃぃぃ!!吹き飛ばされそうぅぅぅ!」

ノア「何故俺が悪魔祓いではなく悪魔殺しと呼ばれるのか…」

ウロボロス「やはり侮っているな!」

ノアは煙草を咥え火をつける…

ノアは歪な形をしたリボルバーでウロボロスの拳の軌道を少し変え攻撃を避ける…

ユキ(あれ?ノアの目今赤く光って…)

ダンスフロアにウロボロスの攻撃が当たり地面が割れ鉄筋が波打つ…

ノア「ユキ!剣を投げろ!!」

ユキ「人使い荒い!!」

ユキは十字架型の剣をノアに放り投げる…

ノアは直後剣をキャッチする…

ノア(奴の外皮を破壊する変形を…しなくては…)

ウロボロス「終わりだ」

ノアが剣をキャッチする時にできた隙をウロボロスは逃さない…

ウロボロスの拳がノアに迫る…

ノア「フロー」

直後、ノアのコートの一部分とそこから扇状にウロボロスの体を巻き込み氷が包み込む…

ノア「ソードオプション…」

ノアが唱えると十字架型の剣をリボルバーが取り込み始める…

刹那氷にヒビが入りはじめる

ノア「代わり映えしないな…魔神王の子供でも…」

リボルバーの変形が終わると同時に氷が砕け中から拳が飛び出してくる

ノアは口から紫煙を吹くそして煙草の灰が落ちた瞬間引き金を引いた


第十八話 影 


発射された鋭い弾はウロボロスの額を貫通し直後三つともの頭を首ごと吹き飛ばした…

ノア「ユキ、俺は魂を浄化はするが天国には送らない…地獄…つまり魔界に叩き落とす…だから悪魔殺しなんだ」

ユキ「ノア、危ない!!」

ノアは直後身を翻す

ノアが先ほどまでいた地面が陥没する

ノア「曳光弾」

ノアが唱えるとリボルバーの中の弾が入れ替わる…

ノア(影にはこれしか効かない…)

直後ノアは影に向かい弾を撃つ…

弾が発射されるとカメラのフラッシュの様に光り影は絶叫を上げ始める…

ノア(こいつ、あの時襲って来た影か…)

ノア「ここで殺してやるよ」

ノアは足を失った影にリボルバーを向ける…

影「あ…あ…」

ノア「なに!?喋れるのか貴様!」

ノアが動揺が引き金を引くのを一瞬遅くする…

影「死ぬ…のは貴様らだ!」

影は地面に紫色のオーラを纏わせた手を叩きつける…

直後部屋の中が軋み影が深くなり始める…

ノア「ユキ!逃げろ!早く外へ!!」

影「もう遅い…」

先程死んだサキュバスやインキュバス、更にはサキュバスクイーンと魔神王の息子ウロボロスの死体から黒い…いや暗い影の手が現れ体から影が這いずり出てくる…

完全に影が顕現するとウロボロスの影が咆哮する、そこには先程の知性は無かった…

影たちの目や口からは紫の炎が溢れ死体の時点で欠損している部分は影になっていなかった…

サキュバスクイーンは損傷が激しく影になった後消えた…

ノア「コイツは…」


第十九話 絶体絶命 


ノアはユキの近くの壁にリボルバーの変形の最後の球で穴を開ける…

ノア「行け!足手纏いになるだけだ!!」

ユキ「ノアはどうするの!?」

ノア「行け!!」

ユキはクラブの外へと出る

ノアは迫り来る影に曳光弾を撃つが頭を撃っても10秒ほどで回復してしまう…

ノア「チッ!」

ノアは紙一重に攻撃を躱し曳光弾を撃つが背後からウロボロスの影による攻撃を喰らってしまう…

ノア「ガハッ!!」

ノアは吹き飛ばされ壁にめり込む…

ノア(今ので…フローのルーンが割れたな…)

ノアはグリフのルーンとドラのルーンを取り出す…

ノア「ぶっ飛べ」

直後ドラのルーンから出る炎がグリフのルーンの風で嵐の様にクラブの中を焼き尽くす…

ノア(レリック以外は殺せないが…逃げるには丁度いい間だ…)

直後ノアの脳裏にかつて自分を救った悪魔祓いの言葉が過ぎる…

「逃げるくらいなら死ね」

ノア「逃げる…俺が?全くふざけてるな」

ノアはタバコを咥え火をつける…

影「我らはレリックでしか殺せない…忘れたか!!」

ノア「ウルセェ野郎だ…」

ノアは歪な形のリボルバーを構える…

影は凄まじい速度でノアに肉薄する…

ノア「馬鹿が…」

ノアは銃口を影の頭に密着させ引き金を引く…

ノア(コイツは再生速度が遅い…頭をぶっ飛ばせば…)

しかし…

影「危ない…」

影は銃の玉を摘んでいた…

ノア「ありえない…」

影「ありえるさ…あと数週間で世界は闇に包まれる…お前もここで死ぬ」


第二十話 邂逅 


ユキは外からノアが絶体絶命な現場を見ることしか出来ていなかった…

刹那背後から声をかけられる…

アリサ「地面に落ちている剣…貴女の?」

ユキが振り返るとそこには明らかに装いが一般人ではない男女がいた…

ユキ「はい…ていうか貴女たちは?」

アリサ「掃除屋よ」

アリサは十字架型の剣を拾う…

アリサ「少し借りるわ…」

そう言うとアリサは十字架型の剣を喋る影目掛け投げた…

直後ノアにトドメを刺そうとしていた影の右肩から先を吹き飛ばし刺さる…

影「グァァァァァ!!」

ノア「これなら躱せない…」

ノアは喋れる影の胸に弾をぶち込む

喋れる影は絶叫を上げ床に沈み、他の影も霧散し始める…

ノア(危なかった…しかしこの剣は何処から…)

ノアが周りを見渡すと壁に開いた穴の外に人影が見えた…

ノア「誰だ…」

アリサ「教会の掃除屋アリサよ」

ノア「教会に居る割には出来るんだな」

アリサ「所属しているだけですから」

ノア「なるほど俺が居なくなってから直ぐに現れた天才とはお前の事か」

アリサ「そうかもしれませんね」

アリサ(コイツ…何…私が読めない…)

ノア「使えそうだな、グースには感謝しておこう」

ノア「俺はこれからユキとテーラーに行くがついて来るか?」

アリサ「是非」

ノア「ところで俺の心を読もうとするのは辞めろあと物陰に隠れてる弟子にも挨拶は教えてやったらどうだ?ユキは先程まで死地に居たからわかるが其方はそうでは無いだろう?」


続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る