最後の感情
真白の方から黒い何かがいきなり現れ、それらが焔を壁へと叩きつける。「ぐはっ…!」肺の空気を吐き出した彼女に真白が掴み掛かり、そして彼女の首を手で締め付ける。
「…何かの拍子でだと…?ふざけるなよ、ぼくが今までどれ程の思いでこの苦しみを
「え、黒色!?ま、真白!何やってんのさ!!」韋駄天が取り乱し、糸や晶も驚いて立ち上がる。
「真白さん、落ち着いて!!焔さんから手を離してください!」瞳が叫ぶ、しかしその声に耳を貸す様子もなく、正体不明の黒い物質が焔の四肢を締め付けている…その力が段々と強くなってゆく…
「ぐっ…!」すごい力で引き剥がされ、逆に自分が地面に叩きつけられた真白は苦しげに表情を
「黒、か…どうやら問題は解決したみたいだね……真白!!」急に血染が大声で彼女の名を呼び、それで真白は正気に戻った…黒色が、まるでキャンバスに落ちて
「大丈夫かい焔?」血染は出した血液を腕の傷口から体内に引っ込めると、焔に声を掛けた。
「げほっ、ごほっ……はぁ…あぁ…大丈夫や…すまん、助かった…」息を整えながら、焔はなんとか彼女に答える。
「あんたはあたしのこと、助けてくれなかったけどねぇ。」
「真白、あんたのご両親の記憶は…」混乱の真っ只中、血染は皆にも聞こえる声でゆっくりと告げた。
「ご両親の記憶は…あんたの中の「憎しみ」にある。」
「…わ…わたし、今、何が…」真白は床にへたり込んで茫然自失の状態だったが、やがて我に返ると、「ほ、焔さんすみません!!あぁ、わたしはなんてことを!!!」焔の方へ、ほとんど
「あ、いや、大丈夫や…うちの方こそ無神経なこと言うてしもた、済まんかったな真白…」自身の袖を掴む真白を
焔とは血染の方に視線を向けた…今や室内にいる全員の注目が彼女に集まっている。
「皆も見てただろう、真白の変化を。髪は黒、目も黒、今まであたし達が出合ってきた真白の分情は感情に応じた髪と目の色をしていた。喜怒哀楽、黄、赤、青、緑…そして、慈しみの白。」真白はびくっと身を震わせる。
「喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、慈しみ…残るは慈しみの対極に位置する感情「憎しみ」一つだけ。真白、多分あんたはこれから…」血染は目を細める。
「…最も強大な
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます