蒼然
「花火玉二号、柳!!」焔がそう叫びながら手にした棒を振る…すると拳程度の大きさの火の玉がその棒から放出され、爪の頭上でパンっ!と弾けた。その火球は形状を変え、まるで
「鉄の千本を喰らえぇい!!」力が多少回復した黄も続いて「楽しみ」の情力を発現させ、鉄を針の千本に変えて放つ…が、それらも爪によって全て払い落とされてしまった。
「鉄血、
三体一、流石に防御が間に合わなかった爪は彼女の攻撃をくらい、激情態になってから初めて傷を負った。しかし反撃に転じた爪が血染を思い切り引っ掻き、それが血染の左肩を
「大分威力が落ちてきてる感じがするなぁ…最初の頃は建物貫通してたし。」そちらに目をやった韋駄天がそう呟く。
「激情態はそう長く持続するものではありません、情力が落ちてきているのでしょう…しかしこのままでは彼女の心が…」韋駄天と瞳は現状を分析し、それを打破する策を考えていた。そこへ…
「防御系の具情者、身を守る技出しときな!!」頭上から声が聞こえ、続けて急激な温度の低下を二人は感じる。
「
「な、くそ!」焔はその
「血染、無事か!?」焔が空から安否を尋ねると「あぁ、大丈夫だよ!」血染の声が返ってきた。彼女は自分の周りの地面に高速で血液を
一方逃げ遅れた爪は身体全体が凍りつき、身動きが取れない状態となっていた。「よしっ完了っと…爪、あんたこんな面白いもん隠しもってたんだね、教えないなんて性格悪いよ?」ゆっくりと歩いてきた緑が人差し指でピンっと氷を
「さて…無事かい?マシロちゃんとやらのお仲間さん達?」爪を脇に抱えながら緑が聞いた。
「おん前っ急に何してくれとんねん、ギリギリやったやないか!!ってあぁぁ!!お前真白の分情やないか!なんでここに…ってじゃあお前、真白は今どこやねん!」
「ここですよ。」
騒ぎ立てる焔が声のした方を振り向くと、そこには少し息を切らした真白がいた。
「お、真白も来てたんだね!聞いて聞いて!今驚くことがたくさん…」
しかし真白はそんな二人に脇目も振らず緑に近づいてゆき、すごい剣幕で緑に詰め寄る。「わたしの「楽しみ」の感情…あなた、わたし達の両親の顔を覚えていますか!?」
普段の真白を知る者は、あまりにもらしくない彼女の振る舞いに驚く。
「え…両親って…真白さん、何があったんですか?」瞳の問い掛けにも真白は応じない。
「どうなんですか、答えて!!」
急に詰め寄られ、流石に面食らっていた緑だったが、やがてゆっくりと答えた。
「……覚えてないよ…両親の顔。」
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