嵐の前の静けさ
色橋の摩天楼、まだ被害を受けていないビルの屋上から一人の少女が街を見下ろしている。
「何をしている?」彼女に声を描けたのはプアール・ア・フリールのメンバー、
「…あそこ、渋滞してるなぁ…って…」その子が指差す方を見ると、確かに少しだけ大きな人だかりが出来ていた。「…あの人はあと0.25km速く、あの人は逆に1.4km遅く歩けば、それも解消するのにね…」ぽつりと呟くその子を
「あなたは?」「
「私の情力は「
「……此方が言うのも可笑しいが…戦わなくてもいいのか?」
「…人とはどうして、ああも不合理な行動を取るのか…此方もその人に分類される生き物だが…あの醜悪性だけは理解の
「…でもその不合理な人によって、合理的な数式や法則が多数発見されてきた…非合理的な生き物が合理的なものを生み出すのは非合理的…でもそのどこか
その頃。
赤、風音、雷の三人は、とある場所を目指して走っていた。その場所に待ち受けているのは他でもない…エモートゥス第二の地位に座する具情者、
「…おい、ちょっと止まってくれねぇか!」赤の呼び声で三人は立ち止まる。
「いいかてめぇら…瞳の情報によると、水面は強力な水の具情者だ。一度うちの本体と出会った時はその情力を操り、身体の水分を操作して内側から人体を爆発させようとしやがったらしい。」赤は目を細める。
「だからこのメンツにおれが加わった…その凶行を阻止出来るとしたら、同じく水を操るこのおれをおいて他にいねぇだろうからな。ただ…」風音と雷が赤を見る。
「…その場合、恐らくおれは戦力外ってことになる、そっちの処理に気を取られるだろうからな。つまりは…」「あーしと風音の二人で戦えってことね、り。」「…り?」「了解ってこと。」溜息をつきながら風音が補足する。
「……」そう言った風音は、普段に比べ表情が固い。実は彼女、今まで路情の相手をしたことは何度かあっても、具情者と戦う経験はほぼなく、真白達とやり合った時を含めて二度目なのだ。
「へいへ〜い、どしたどした〜仏頂面浮かべちゃって〜!」雷が風音のほっぺたを両手で押す。「ふがぶっ!!何するのよ雷!」「うりうり〜、せっかくの可愛い顔が台無しだよ〜ん!」「ひょ、ひゃへひょっへは!!」そのままほっぺたを
「そ、あーたはそれでいーの。」雷はニマっと歯を見せる。「あーたは「怒り」の具情者でしょ?仏頂面は仏頂面でも、変に悩んでるより、しょーもないことでイライラしてるくらいのが風音らしいよ!」そう言われた風音は顔を赤くし、「な、何言ってんのよバカ!!ほら、さっさと行くわよ!」そう言って駆け出してしまった。
「…あー面白、ホント
「…何だこいつら?」
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