第二部:暴情騒乱
第一章:色橋訪問編
英国での夜更かし
シン…と静まり返ったイギリスの夜…ホテルの一室でベッドに腰掛け、窓の外、蒼暗く美しい夜空を眺めている少女がいた。彼女の髪と目はその空とは対照的な美しさの純白で、彼女はその白に似つかわしい
彼女には二つの名前がある。一つは「
そしてもう一つの名は「
彼女の全てを取り戻す旅路は容易なものではなかった。だが彼女はドッペルゲンガーの者達をはじめとした数々の協力の元、自分の感情達との対話と激闘の末に無事、自身の記憶と感情を取り戻すことが出来た。
「喜び」「怒り」「哀しみ」「楽しみ」そして「憎しみ」と「慈しみ」……有り体な言い方をすれば、真白には彼女には六つの人格が存在する、ということだ。
そして現在、彼女達は旅の疲れを癒すべく休息を取っていた。
(…眠れませんね、真白さん…)そう言ったのは真白の「哀しみ」の感情が分かたれた存在「分情」の一人、
「えぇ。色々と思うことが…あまりにも多すぎて…」真白は記憶と感情が戻ったことで今まで忘れていた様々なことを思い出し、心の整理が中々つけれないでいた…そう、戻ってきた記憶は、決して懐かしく
(…まぁおれら感情は一部だが、全種類が
「そうですね、ありがとうございます赤さん…」赤の言う通り、分情達は皆自身の一部を本体である真白に還元させている。そのため分情は今なおこの世界…真白と同じ空間、同じ時間に存在することが出来ているのだ。
また真白とその分情達は今のように、真白を媒体として
(ねぇ、何か鳴ってるよ?)黒い夜が少しずつ明らみ始めた頃、「楽しみ」の分情である
真白が枕元に目をやると確かにスマホの画面が光っている…ディスプレイには「鏡さん」という文字が表示されていた。鏡、というのは真白の両親の知人、
「…はい、もしもし?」真白が電話を取る。「もしもし?ごめんなさいね朝早くに…っていっても、時差でこっちは夜の九時頃だけど。」落ち着いた女性の声が聞こえた…彼女が黒曜だ。「いえ、起きていたので大丈夫ですよ。」真白がそう返すと、彼女はこう答えた。
「うん…それは知ってる。」
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