腹ペコ具情者
「貴様…わざと自分の身を
透那の右脚からは血が流れ、彼女は恨めしげに瞳を
「さて、最早その傷では満足に動くことも
「何もしませんよ、ただ私達の話を穏やかに聞いて欲しいだけです。」微笑を浮かべつつも淡々と答える瞳。「話…というのは、あの赤の
その時、遠くで轟音が鳴り響いた。
「!今のは何…?」晶が音のした方角へ目をやる。
「…少し様子を見に行った方が良さそうでしょうか。」瞳が呟き、晶の方を見る。「晶さん、彼女のこと頼めますか?」晶が頷くと、瞳は音の方へと走り出した。
「貴様の仲間…」駆けて行く瞳の後姿を見送りながら、透那が晶に呟く。「中々にねじの外れた思考をするな…物腰と戦法の差異に
「あ!瞳さん!」先に目的の場所へ到着した瞳…声のした方に目をやると、真白、そして赤がやって来た。「お二方、どうしてここに?」瞳が問うと「いや、それが…」困った表情の真白、彼女の言葉を赤が
「うちの仲間で一人、大きい荷物を背負ってたやつがいたろ?てめえが聞いた爆音の
「そいつの名前は
「
「腹が減り過ぎると、生き物なら何でも食い物に見えてくるんだと。それで「喜び」を感じて…」「情力が強まる、という訳ですか…」瞳がやや呆れた様子で頭を押さえる。
「ともかく彼女を止めないと!街への被害が更に拡大してしまいます!」真白が少し焦った様子で二人に呼び掛ける。
「おれ一人で大丈夫だ、てめえらはここにいろ。あいつはおれんとこの
「…真白さん、彼女と話はついたのですか?」瞳が問うと真白は「いえ、これからします。今は一時休戦というところでしょうか。」そう返した。日の入りが進んで影が世界を支配してゆく中、二人は赤が去っていった方角をじっと眺めていた。
「ちょ、マジヤバイって焔!あいつ何か暴走モードに入っちゃってるし!」
「んなこと言われてもどないせいっちゅうねんな!うちの情力で動きを止めようにもあいつ意外に足速いし…ていうかお前こそ何か策ないんか!そういう
「悪いな、うちのばかが。」
空から赤が舞い降りた。
「な、お前真白はどうした!まさか…」「おれならあっちにいるよ、先に戻ってろ。」赤は自分が来た方向を指差す。「…何か彼女を止める手段、あるの?」そう尋ねた韋駄天だが、赤は何も答えず、代わりに手を腕の方へ向けた。するとその手の周りから水が縄のように
動きを止められた腕だが、まだ正気を取り戻せてはいない。舌打ちした赤が手を少し動かす、すると腕に絡み付いていた水の一部が彼女の顔へ移動した。水で鼻と口を覆われ、呼吸が出来なくなった腕…苦しそうに身を
「…同じ「怒り」の具情者なのにね。」ボソッと言う韋駄天に、焔は無言で彼女に軽いボディーブローを喰らわした。
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