色めく
「ふーん、記憶喪失ねぇ…」
「うち…悪目立ちしてたんやなぁ…」
という始末である。
「SNSとかよう分からんくてなぁ、あんまし見てへんかったから全然知らんかったけど…「火の怪人」なんて呼ばれ方してたんやなぁ、ちょっと行動見直さんと…」どうやら焔は世間での自己像を知り、ショックを受けたようだ。
「元々気性は激しい方なの?」韋駄天が聞く。
「まぁ穏やかな方ではないわな。でも最近ますます頭に血が昇りやすくなってるかも…やっぱり、あの時のあれが原因なんかなぁ…」後半は独り言のような声の小ささで、韋駄天には届かなかった。
「火を操れるようになったのは?」
「…二年くらい前からかな?」
「うーん…やっぱ具情者になるとその辺も変わってくるのかなぁ…」韋駄天は顎に手を当てて思案する。
「?何やグジョウシャて。」聞き慣れない単語に焔が反応する。
「ん?あぁ、この現象をワタシたちが勝手にそう呼んでるだけ。まぁそれは置いといて。焔、ワタシたちの仲間になってくれない?」単刀直入に韋駄天が言った。
「…はぁ?いきなり何言うてんの自分?何でうちが会ったばっかのあんたらと仲間にならなあかんねん!」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする焔に対し、彼女は続ける。
「ワタシもまだまだ具情については詳しく知らないし、じっk…か、観察対象は多い方がいいからね!それにいざという時の戦力にもなってくれそうだし…アナタにとっても悪い話じゃないと思うよ?」
「どういうことや?ていうかお前今実験体って言おうとしたやろ。」
「焔、情報収集に
「人助け体質、しかぁし、情弱体質でもあるアナタに朗報です!なんとここにキュートでインテリジェントなスーパーJK、韋駄天ちゃんがアナタの前に現れました!!」謎のハイテンションで迫られた焔は「え、何急に怖…というか誰が情弱や、そうやけども!」少し顔を引きつらせる焔。
「そんな行き当たりばったりの人助けよか、正確な情報に沿った人助けの方がもっと多くの善人を幸せに出来ると思うよ?ワタシはアナタと逆で、機械を駆使した情報収集がむちゃむちゃ得意。だからアナタの活動において、情報提供という形でのサポートが出来ちゃうんだよ!」人差し指を上げ、韋駄天は熱弁する。
「それにさ、困ってる人を助けたいならここに思いっきり該当する人がいるよ!記憶を取り戻すっていうのも十分立派な人助けだと思うんだけどなー…?」そう言い終わると、彼女は焔の反応を待つ。
「…いやめっちゃ喋るやん!………そもそも……うちがやってる事なんて、そんな誉められたもんやないのに……」真白達には聞こえない位の小さな声でそう呟いた焔だったが……
「……はぁ~、しゃあないなぁ分かったわ!あんたらのこと、ちょっとくらいは手伝ったる!」大きな溜息を一つついた後、焔はそう宣言した…どうやら人助け体質は
「そういう訳や、よろしくな真白ちゃん。」
「よろしくお願いします」
真白と焔が握手をしようとしたその時、遠くで何かが爆発、崩壊する音が聞こえた。
「!?なんや今の音?」
「ちょっと焔、何ぶっ壊したのさ。」
「あほ、なんでここにいるうちの仕業になんねん!とにかく音のした方へ行ってみるで!」彼女達は急いで廃ビルを後にした。
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