アニメ化を意識した話の作り方
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今日のテーマはこちら。
「アニメ化を意識した話の作り方」です!
別にアニメ化を意識して作ったからといって「オッケー! アニメ化しよ!!」ってなるわけではないですけどね。
たまにあるんですよ。
コミカライズも含めたシリーズ累計発行部数は悪くない。
エログロも宗教もなく、人気ジャンルではないけど海外にも出せそう。
ただ……、シリーズ構成が切りづらい。
こういう作品は、アニメ化を見送られるか、無理やりアニメ化してコケるパターンが多くなります。
皆さんも感じたことありませんか?
「このアニメ、1話に詰め込みすぎ」
ちょっと角が立つので具体的な作品名は出しませんが、まあ皆さんがいま頭に思い浮かべた作品です。
シリーズ構成、というのは脚本に起こす前に、各話のあらすじを作ること。
原作のどこのシーンをどう持ってきて、最終回に着地させるか考えます。
もう一度言いますね。
『どう最終回に着地させるか考えます』
これ重要なので、覚えておいてください。
いまのご時世、よほどの運に恵まれない限りアニメは1クールです。
反響が良かったら、そのとき2期を考えます。
1クールは大体12話です。
たまに13話だったり、配信のみの14話があったりします。
この1クールに収まる原作の量、どれくらいか、考えたことありますか?
考えたことがある人は、同業者か変態の二択です。
これ、マンガをベースに考えると、だいたい5巻前後と言われています。
もちろん、セリフの量やコマ割りの大きさによっても変わるのですが、大体それくらいです。
小説だとどれくらいでしょうね。
ちょっと手元にあった「ゴブリンスレイヤー」を確認してみました。
アニメ放送から時間が経ってから二期が発表されているので、アニメがビジネス的にある程度の成功を収めていると考えて差し支えありません。
えーーーーっと、2巻分ですね。
ただし、1巻(古代の遺跡まで)⇒2巻(水の街の地下水路)⇒1巻(小鬼王)という構成になっています。
シリーズ構成が上手いですね。
小鬼王の話はゴブリンスレイヤーの成長を描いている話なので、アニメの最終話にぴったりです。
確認したらシリーズ構成が倉田英之さんでした。
レジェンドクラスじゃないか。
ちなみに、コミカライズ版だと6巻までの内容です。
さて。
ここまで書いたら聡明な皆さんはお気づきでしょうが、重要なポイントをおさらいします。
1.アニメは1クールで視聴者にカタルシスを与えなくてはならない
2.1クール相当の原作は小説(文庫)で2~3巻、コミックスなら5~6巻
これを意識しないとどうなるか。
キリの良いところまでアニメで描こうと思って、シリーズ構成はシーンを端折り端折り、なんとか最終回に着地させようと試みます。
そこから、いざ脚本に起こしてみると出来上がっちゃうんですね。
「このアニメ、1話に詰め込みすぎ」ってやつが。
さてさて、せっかくなのでもう少し詰めて考えてみましょう。
文庫版の小説1冊がだいたい10万字です。
なので、2~3巻分だと20万~30万字ということになります。
これが1クールアニメのキャパシティだと思ってください。
ここを目標にストーリーを派手に着地させてください。
20万字でキッチリ着地させたら、シリーズ構成がちょっと膨らませてアニメの終わりをそこに合わせてくれるハズです。
30万字でキッチリ着地させたら、多少シリーズ構成が端折っても影響のない範囲で収まるハズです。
20万字で着地の場合、出来ればオムニバス短編を用意してあると良いですね。
Cパートとか、特別編とか、アニメ全体の尺調整に使えます。
最後にとても残念な話をします。
原作側がここまで考えて作品を作っても、ダメなときはダメです。
ビジネス上の都合で、1クールで原作5巻までやりたいんじゃ、とか。
監督が好きな話が原作6巻だから、1クールでそこまでやりたいんじゃ、とか。
起こるときは起こってしまいます。
そしてほとんどの場合は悲惨な結果に終わります。
でも、実はこれを全力で止めることが出来るのも原作者である貴方です!
シリーズ構成が出来たら、きっと監修依頼がくるはずです。
来なかったら「シリーズ構成を確認させて欲しい」と編集に言ってください。
そしてシリーズ構成をしっかりチェックして、納得がいかないときはNGを出す。
ここで遠慮したら負けです。
「自分はアニメのことは分からないし……」などと思う必要はありません。
先に考えておきましょう。
アニメ化したら1クールの最終回はココ(だいたい20~30万字で)
2クールだったら最終回はココ(だいたい50万字前後で)
そこに最高のカタルシスを用意している!
という自信があれば、きっと思いは伝わるハズです。
そして何より重要なフレーズはこちら。
「こっちには著作者人格権(同一性保持権)があるんだぞ」
さて、今回はこの辺にしておきましょう。
それでは皆様、良い創作活動を。
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最後までお読み頂きありがとうございました。
アニメビジネスに関する「これなんで?」な質問などありましたら、コメント欄にお書きください。
答えられる範囲でお答えします。
長くなりそうなときは、次話を追加します。
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