第2話
今日はとある伯爵家のお茶会に招かれました。
「お招きありがとうございます」
「ようこそ、セリーヌさん。今日は楽しんでいってね」
社交界の噂が飛び交うお茶会は少し苦手ですが、これも貴族としての義務のようなものです。参加しなければ何を言われるか分かりませんし、家名を傷つけてしまうかもしれません。
早速皆さんが、噂話に花を咲かせていますね。
「そうそう、ルイス伯爵夫人のお話、聞きました?」
ル、ルイス伯爵夫人?まさか不倫のことを知ってしまったのかしら。占ってから随分経つけれど、伯爵とアナベルさんは距離を置いたはず……。
というより、今日、アナベルさんも来ているのではなかったかしら……来ているわ!いくらなんでもこの話題はマズいのでは……。
「あぁ!聞きましたわ。おめでたですってね。最近、伯爵と仲睦まじくなったと評判でしたものね」
ん?不倫の話ではない?おめでたなのね!良かったわ、ルイス伯爵と夫人は元の鞘に収まったのですね。
アナベルさんは大丈夫かしら?あら、平然としてらっしゃるわ。もう吹っ切れたようですね。本当に良かった……。
「あぁ、私も素敵な殿方と結ばれたいわ」
「本当ですわね。私もそろそろ縁談の話が来そうなので、祈るばかりですわ」
どこへ行っても縁談や恋の話は盛り上がるものね。
「そういえば、最近流行りの占いの話、ご存知?占ってもらうだけで運気が上がるそうですよ」
「私も聞いたことがあります!特に恋愛関係の占いが良く当たるようですね」
同業者のお話です。気になりますね。よし、少し探ってみましょうか。
「そんなに良く当たるなら、私も占ってもらいたいですわ。どこで占ってもらえるのですか?」
それとなく会話に入ってみると、アナベルさんが口を開きました。
「あら、セリーヌさんも気になるのね。街はずれの館ですよ。私は占ってもらったことがあるのですが、とても親身になってくださいましたよ。お陰で悪い縁を断ち切れましたの」
え?もしかして、悪い縁ってルイス伯爵のことでしょうか……?つまり、占い師は私のこと……?
「ま、まあ、とても素敵ね。どんな占い結果だったのですか?」
「恋愛相談です。恥ずかしいので内容までは……。でもお陰で新しい趣味を見つけたり、勉強に身が入るようになりましたわ。そうしましたら、最近、素敵な縁談をお父様がもってきてくれたのです。占い師様が、私の力を強めるアドバイスをくださったの」
あ、私のことのようです……。なんということでしょう、知らぬ間に有名になっていたようです。ま、まあでも私とバレなければ問題ありません。このまま知らないふりをしていれば、大丈夫でしょう。
「まあ!素敵ねー」
「お相手はどなた?」
「私も占っていただきたいわ」
皆さん口々に占いや恋愛ついてお話しています。あまり迂闊なことを言わないようにしなくては。
「そうそう、第一王子のロベルト様がそろそろお相手を探し始めるそうよ」
「ロベルト様に選ばれる方は幸せでしょうね」
「私、ロベルト様との相性を占ってもらおうかしら」
「まあ、うふふ……」
話が王族にまで及んでいます。私には縁のない話ですね。
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