第2話
「……」
「お、おぃ?」
「……早く閉まったら?」
腹を出したまま硬直している俺に、佐竹は冷めた声で一言だけ呟いた。
「面白くなかったか、じゃあこれはどうだ?」
それから俺はモノマネや一発ギャグを思い付く限りのことをやって見せた。だが佐竹はクスリとも笑わない。
後ろでは何人もの生徒が笑っているのに……
「だ、だめか?」
「……それ、笑わせているの? それとも笑われているの?」
「え?」
「即答できないようじゃ、芸人どころか、このクラスも無理ね」
「な、なんだと?」
「あなたは何故芸人になりたいの?」
「それは、笑顔にしたいからだよ、皆を笑顔に――――」
「それは、あなたの一方的な考えでしょ? 私はお笑いなんて大っ嫌いなの、やめて、虫酸が走る」
「む、虫酸って……」
山野の手が肩の上に乗ると同時に始業のチャイムが鳴った。
放課後、やはり佐竹の言葉が気になっていた、何故あいつはお笑いをあそこまで毛嫌いするのか、あんな奴こそ心の底から笑ってほしい、あんな闇を持っている彼女にこそ……
「おい佐竹、おまえは何故、お笑いを毛嫌いするのだ」
「……言わなきゃダメ?」
「出来れば……おまえを笑わせたいからな」
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